2023-04-19 Wed

2022年制作 英/米/アイルランド
監督:マーティン・マクドナー
≪キャッチコピー≫
『すべてがうまく行っていた、
昨日までは。』
≪ストーリー≫
本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島・イニシェリン島。島民全員が知り合いである平和な島で、パードリック(コリン・ファレル)は長年の友人であるはずのコルム(ブレンダン・グリーソン)から突然絶縁されてしまう。理由も分からず動揺を隠せないパードリックは、妹のシボーンや隣人ドミニクの助けも借りて何とかしようとするも、コルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と言い渡される。やがて島には、死を知らせると伝承される精霊が降り立つ。
≪感想≫
「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドナー監督の最新作。
アカデミー作品賞の候補にもなっている本作。
いざ劇場にて鑑賞してまいりました。
さてさて。
小さな島の二人の男。
一方から告げられる急な絶交宣告。
徐々に明らかになる絶交の理由。
そこからだんだんと二人の歯車が狂っていく。
島の向こうでは内戦が起こっているようで。
二人にとっては対岸の火事なんてどうでもよく足元のささいないざこざ。
そこから負の連鎖は止まらない。
歯止めの利かない争いは「許す」ことはできなくなって。
なるほどねぇ・・・。
やっぱり監督の前作「スリー・ビルボード」を彷彿とさせる。
序盤、中盤まではどうやって仲直りまでたどり着くんだろうと眺めていると
中盤以降の怒涛の展開。
コルムが起こした不測の事態に一気に物語が展開していく。
取り戻せない時間、取り戻せない二人の仲。
コルムが求めていた関係なのに、どこか後悔の念が残る。
いやはやこういう事ってありうるよなぁ・・・。
サブキャラのドミニクの存在も良いスパイスでした。
コルムにとってのパードリック。
パードリックにとってのドミニク。
友達の関係、イニシュリン島にはびこる人間関係、
もっと言うと、観ている僕たちの社会や世界の人間関係にも
通ずる人付き合い。
なるほどねぇ・・・。
本作でコルムは「音楽」は何年たっても残り続ける的な事を言っていたが、
本作はまさにそういう存在になるんじゃないかな。
恐らく100年後に観てもあるある的な。
他にもパードリックの妹であるシボーンの自立のお話。
島の閉塞感に嫌気がさし本島へと旅立つ。
ここら辺も普遍的なテーマで素晴らしかったです。
色々な側面から描かれた本作。
なるほど、アカデミー作品賞に名を連ねるだけある見応えのある作品。
とても見応えのある傑作でした。
そうそう。
本作は上映2日目に観に行ったのですがまさかの観客2人という少なさ・・・。
えぇ・・・。
めちゃくちゃ悲しい。
≪点数≫
9点
(23.01.28鑑賞)

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