2021-10-04 Mon

2020年制作 英/仏
監督:フロリアン・ゼレール
≪キャッチコピー≫
『 - 』
≪ストーリー≫
ロンドンで独りで暮らす81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、少しずつ記憶が曖昧になってきていたが、娘のアン(オリヴィア・コールマン)が頼んだ介護人を断る。そんな折、アンが新しい恋人とパリで暮らすと言い出して彼はぼう然とする。だがさらに、アンと結婚して10年になるという見知らぬ男がアンソニーの自宅に突然現れたことで、彼の混乱は深まる。
≪感想≫
思っていた作品と違ったかも・・・。
認知症を患っている男の人を主観的に描いた作品。
内容やCMを見ていると、周りの人との関わりや繋がりを描いたハートフルな
作品に仕上がっていそうなものなのに。
ちょっとサスペンス的というか。
ミステリ的というか。
もっと言うとホラーテイストにさえ感じました。
さてさて。
先に書きましたが本作は、認知症を患っている男の視点で描かれているので、
何が現実で、何が幻想なのかがわからない。
目の前で起こっていることが次のシーンではいとも簡単にひっくり返される。
認知症になったこともないし、そもそも、その人がどう言う風に感じているのかなんて
わからないわけで。
ただ、そこに映っている人間が体験していることって、めちゃくちゃ不安で怖くって。
さっきまで感じていた自分の考えがいとも簡単に覆される。
自分にとっての当たり前が実は違っていたことだったり。
めくるめく展開に観ているこっちもクラックラさせられる。
バラバラで謎々な展開に混乱させられつつも、やっぱり一つの物語として
成立させているのはやっぱり監督の手腕なんでしょうね。
凄かったです。
演じ手について。
アンソニー・ホプキンス力大爆発。
彼は本作でアカデミー主演男優賞を獲得。
圧巻の演技とはこの事。
クライマックスの心が折れた瞬間、幼児返りするあのシーンは
本当に苦しくてグッときました。
一方、娘役を演じたオリビア・コールマンも素晴らしかったですね。
変わっていく父親と、その父親から受けるど直球の本音。
自分が父親のために何ができるのか、そして自分の人生とは振り返る
あの感じとかこれまたグッときました。
そんなこんなで。
演者の力量も言わずもがなですが、演出や構成も見事。
思っていた作品とは違いましたが、とても素晴らしい作品に出会いました。
≪点数≫
8点
(21.07.25鑑賞)

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