2021-08-02 Mon

2019年制作 邦
監督:今泉 力哉
≪キャッチコピー≫
『 - 』
≪ストーリー≫
下北沢の古着屋に勤務している荒川青(若葉竜也)は浮気されて振られた恋人を忘れることができなかった。ときどきライブに行ったりなじみの飲み屋に行ったり、ほとんど一人で行動している彼の生活は下北沢界隈で事足りていた。ある日、美大に通う女性監督から自主映画に出演しないかと誘われる。
≪感想≫
「あの頃。」「アイネクライネナハトムジーク」「愛がなんだ」の今泉力哉監督作品。
最近、何となくよく話題になる監督さん。
イメージとしては、作品を見れば今泉監督の作品だなぁとわかる
世界観を持っている感じ。
お話は単純。
古着屋の青年の数日間を切り取ったお話。
何気ないやりとりはどこか息苦しくって、どこか可笑しくって、
どこか懐かしい。
こんな何気ないやりとりが、今もどこかで起こっているんだろうなぁって。
以前、同監督の「あの頃。」を観た時にも感じた、自分が本作の主人公ぐらいの時代
に過ごしていた日々を思い出す。
とんでもなく懐かしいこの空気感。
住んでいるところや写っている景色、人たちを眺めながら
ぼんやりと思い出す。
いやぁ、良いですねぇ・・・。
そこにいる登場人物たちがとても愛おしくなる。
主演の青を演じるのは若葉達也さん。
この俳優さんは本当に素晴らしい!!!!
一気にファンになっちゃった。
というか、この青という青年にとても好印象。
ダメダメな部分もたくさんあるんだけど、嫌いになれない。
友達になりたいかといったらそうでもないんだけど、どこか
応援したくなるというか。
あの不器用な感じとか。
これまでの恋愛経験のお話等々。
きっと、こいつは良いやつなんだろうなぁって。
青を囲む女性陣もまた素敵な人たち。
青を巡る4名の女性。
元カノの雪、本屋の田辺さん、映画監督の高橋町子、そして美大生の城定イハ。
みんな個性的でキャラの立った方達でしたが、青とイハの会話シーンは
ずっと見ていたかったなぁ・・・。
田辺さんも良い娘だったなぁ・・・。
全体的に派手さはないんです。
ただ、それが本当に良いんです!!
実在感があって、とても身近で愛おしいキャラクターばかり。
今すぐ下北に行ったら会えそうな奴ら。
僕的には、下北のカフェに聖地巡りしていた女子が素敵だったな。
あと、青が通うバーのマスターはルックも含めて最高だったし、職質してくる
警官の余談もグッときたよね。
他にも青の古着屋のお客のぎこちないカップルにも笑かしてもらったし。
とにかく出てくる人たちはドキュメンタリーを見ているような生々しさ。
少し考えると、ファンタジーなのはわかっているんだけど、なんだか
会えそうな気がするんですよねぇ。
ふふふ。
ストーリーは特に抑揚がなく基本的に長回しの会話シーンの数々。
間がとても多くって、どこかぎこちなくも生々しい。
人と人とのコミュニケーションを丁寧に描いている感じ。
これぞ今泉印!!
ただ、そんな抑揚の抑えた流れから一転。
クライマックスの大立ち回りはこれまでの落ち着いたトーンから一転。
とても派手なやり取りに。
これがまた面白くってね。
ただ、それでも今泉ワールドはしっかりと保っていて、凄い実在感や
リアリティが半端ない。
良い塩梅なんだよなぁ・・・。
そんなこんなで。
胸がキュッとなったりにやにやしたり。
とにかく映画の中の彼ら彼女らのすぐ側で、生活を覗き見しているような感覚。
とりあえず下北沢に行ってみたいなぁ。
きっと、彼ら彼女らが今もまだ生活をしているんだろう・・・。
う〜〜ん・・・素敵な作品でした。
≪点数≫
9点
(21.04.25鑑賞)

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