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No.1903 『燃ゆる女の肖像』
No1903 『燃ゆる女の肖像』
2019年制作 仏
監督:セリーヌ・シアマ

≪キャッチコピー≫
『すべてを、この目に焼き付けた――。』

≪ストーリー≫
18世紀のフランス・ブルターニュ地方。画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)は貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)の見合いのため、彼女の肖像画を依頼される。しかし、エロイーズは結婚することを頑なに拒んでいた。マリアンヌは身分を伏せて孤島でエロイーズと過ごし、ひそかに彼女の肖像画にとりかかるが、マリアンヌの目的を知ったエロイーズは絵を見てその出来栄えを否定する。

≪感想≫
画家のマリアンヌは、ある女性の肖像画を描くために
島に渡る。
そこにはエロイーズがいた。
二人の交流が始まった。

時代は18世紀のイギリス。
少し「女王陛下のお気に入り」を思い出したりしました。

視点を描いた作品。
マリアンヌからエロイーズへの眼差し。
エロイーズからマリアンヌへの眼差し。
その二人の眼差しは一方的なものから交わるように。
その眼差しの交差加減で、二人の現在地を落とし込む。
なるほどねぇと。

音楽の使い方。
本作は殆ど音楽が使われていなかったような。
中盤の謎の女性会合の民俗歌とか、クライマックスのオペラ的な歌とか。
それらのせいで逆にインパクトが増す。
音楽がない分、他のところに集中することで妙に生々しくリアリティが増す。
なるほどねぇと。

純愛映画であり社会における女性の位置付けが描かれた作品。
とんでもなく美しい描写と物語はどこを切り取っても素晴らしくって。

ラストシーンのエロイーズのワンショットは圧巻。
恐らくマリアンヌの存在も認めつつも、決してそこに目を向けようとしない。
自分の中のマリアンヌの存在をそこに留めていくためなのか、
湧き上がる思い出を押さえつけるためなのか。
涙を流したり笑顔を見せたりするエロイーズの表情から、この物語の
全てが完結される。

いやぁ、素晴らしい。

女性同士の恋愛映画と思いきや、本作では抑圧されている女性を
描いている作品でもあって。
本作は、ほとんど男性が出てこない。
しかも、出てきても女性の思いや行動に対して何の興味も持たず、
ある意味、物として扱っている姿ばかり。
その中で、もがき苦しむ女性たち。
彼女たちもそれが当たり前のように生活しているんだけど、
やっぱりそこには息苦しさが根付いていて。
分からないですが、エロイーズのお姉さんの自殺もそういう事の延長戦だったり
するのではないのかな。
あとは、侍女のソフィの堕胎の件もそうだし。
闇夜で行われている女性たちの会合も多くは語られていませんでしたが、
男性を排した演出はそういうことなんでしょうと。

あとね。
女性同士の友情的な手を取り合って頑張っていく的な演出も素敵だったな。
エロイーズとマリアンヌ、そしてソフィがワイワイキャッキャとトランプをするシーンは
素敵でしたね。
ソフィの堕胎に連れそう二人の姿も良かったし。

全体的に女性しか描かれていない本作。
先に書きましたが、どこを切り取っても絵画的で映画的で素晴らしい作品。
女性が観たらどのような感想になるのだろう。
堪能いたしました。

そんなこんなでこの感想を書き終えて、色々な方の考察を読みふける。
なるほどねぇ・・・。
ラストシーンにはこういう解釈があったのか・・・。
僕はまだまだ浅いなぁ・・・。

≪点数≫
  8点
                                           (21.03.07鑑賞)

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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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