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No.1576 『スリー・ビルボード』
No1576 『スリー・ビルボード』

2017年制作 英/米
監督:マーティン・マクドナー

≪キャッチコピー≫
『 - 』

≪ストーリー≫
ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め……。

≪感想≫※大きなネタバレあり
娘をレイプされ殺されてしまった母親が、犯人探しをしてくれない
警察に抗議のために3つのビルボード(立て看板)に抗議文を
掲載するっつーお話。

お話の展開が二転三転ごろごろごろ転がっていく。
こんな感じのお話かなぁなんて思っていたら、別の展開に。
じゃあ、こんな感じかなぁと思っていたらまた別の展開に。
そんなら、こんな着地になるのかなぁと思っていたら最後も綺麗に裏切ってくれて。
しかもこの着地がなんとも清らかというか。
爽やかというか。

思い返すと、そんなに綺麗な話でもなく、どちらかというとダークな部類に
入るのに、「赦し」てしまう。
すんごいクサい言葉ですが「愛」を感じる事ができまして。
むむむ・・・。
思い返すと本当に良作だったなぁと。

ちょいと具体的に。
冒頭、娘を殺された母親が警察に対して抗議を続けていく。
場所はアメリカ南部の田舎町。
未だ差別や偏見がはびこる町のようで。
以前観た「ウインターズ・ボーン」という作品の舞台にもなったところみたい。
とにかく、そこだけの正義が存在して、そこだけの時間の流れ方があるような社会で。
少しづつ映し出されるその社会の歪さ。
そしてそこに住む人たちの歪さ。
もっというと、「人間」の歪さ。
被害者と思われた母親、ミルドレッドも悪いことを積み重ねていくし。
元々、そんなに良い母親でもなかったみたいだし。
ミルドレッドに詰め寄られる警察署長、ウィロビー署長も別に
そんなに悪い人間じゃなかったし。
悪い部分と良い部分がしっかりと混在していて、
それは人と人との関係でどちらが出てくるかが決まっていく。
怒りは怒りを呼び。
暴力は暴力を呼び。
悪い方向へ悪い方向へ進んでいく物語。

物語の主役は三人。
娘を失ったミルドレッド。
警察署長のウィロビー。
そして警察官のディクソン。
それぞれが心に膿を持つ。
ミルドレッドとディクソンはそれが熟し怒りにつながり暴力に繋がる。
ウィロビーに関してもそう。
彼は病に蝕まれ、自ら命を絶ってしまう。
まずこの展開に「うわっ」って。

ここから怒涛の展開。
ディクソンの怒りのスイッチが外れ暴走し、そこからミルドレッドのスイッチも外れていく。
負の連鎖は止まらない訳で・・・。

その連鎖を止めるたのは・・・。
やっぱり人の優しさだったり想いだったり。
看板広告を取りまとめているレッドという男。
こいつがまた気の良い奴で。
病院でのディクソンとのやり取りはまさに「赦す」という行為。
本作の白眉のシーンでしたね。
ディクソンはウィロビー署長の手紙で優しさに触れ、レッドの行為で
完全に心が洗われたんじゃないでしょうか・・・。
本作では人間の汚さや負の循環を巧みに描いていましたが、その裏側にある
人間の美しさや優しさ、そんなに悪い人間ばっかりじゃない部分も
しっかりと描いておりました。
先に書きましたレッドや、ウィロビー所長、小男のジェームズもそう。
何気ない優しさや想いは人の悪しき部分を溶かしていって・・・。

それが最後のディクソンとミルドレッドの会話に繋がる。
何かが解決したわけじゃない。
もしかしたらもっと悪いことだって起こりえる。
ただ、それよりもきっと未来は輝いているという思いの方が勝った
エンディングになっていました。

重々しくどんよりしたストーリー。
人間の嫌な部分も良い部分も色んな角度から見ることのできた傑作。

役者さんたちも見事に演じられていましたねぇ・・・。
アカデミー賞では6部門7つのノミネートがあったみたい。

なるほど納得。
本当に素晴らしい作品でした。

≪点数≫
  9点
                                           (18.12.24鑑賞)

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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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