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No.1466 『葛城事件』
No1466 『葛城事件』

2016年制作 邦
監督:赤堀 雅秋

≪キャッチコピー≫
『俺が一体、何をした。』

≪ストーリー≫
父親から受け継いだ小さな金物屋を懸命に切り盛りし、マイホームを手に入れ、妻の伸子(南果歩)と共に長男・保(新井浩文)と次男・稔(若葉竜也)を育て上げた葛城清(三浦友和)。理想の家族と生活を築いたと考えていた彼だったが、21歳になった稔が8人を殺傷する無差別殺人事件を起こして死刑囚になってしまう。自分の育て方に間違いがあったのかと清が自問自答する中、伸子は精神的に病んでしまい、保は勤めていた広告代理店を解雇される。やがて、稔と獄中結婚したという女・星野が現れ……。

≪感想≫
とんでもなく後味悪い作品。

こういう事件が起こった時、僕らは何とか理由を見つけようと思い巡らせる。

本作では、その理由がしっかりと映し出されていて。

父親。
自分の思い通りにいかない家族像にイライラしては、怒鳴り散らし、
妻や息子を威圧する。
努力も何もせずただ自分のためだけに過ごしてきた毎日が、
この現実を生み出したのでしょう。
中華料理屋でのクレーマーっぷり。
スナックでの傍若無人っぷり。
本当にダメダメ親父のクズ人間でした。

母親。
父親の抑圧を見ないふりしながら徐々に心が壊れていく。
心が壊れていく姿は本当にホラーで。
彼女も子供達に愛情を持っているんだけど、どこかで自分の生き方に
疑問を持っているからこそこの現実を生み出したのでしょう。

長男。
父親の期待に応えたいという気持ちとは裏腹に、そのプレッシャーに打ち勝つ
心を持ち合わせていないが故のあの結末。
彼も心がとても弱かった・・・。

次男。
無差別通り魔を起こす張本人。
彼も父親に蔑まれ自分の立ち位置を模索しながら堕落していく。
家族の誰からも愛されている実感もなく、せめて自分だけは
自分を認めてあげなければという結果が
自己顕示欲を生み出し、そしてあの結果を生み出す。

負のスパイラルが続くストーリー。

この家族の一挙手一投足が観ていて本当に不快で不快で。
観ながら
「だからダメなんだよ!!」
「これじゃ、落ち続けるだけだよ・・・。」
「痛々しすぎる・・・。」
本当に嫌ぁな気分にさせられました。

ただね。
ここに写っている家族像、人間像はどこの誰にでもあり得そうなお話で。
例えば、一歩間違えれば自分もこんな親父になり得る
性格を持ち合わせているんじゃないかって。
例えば、一歩間違えれば自分もこの長男坊になり得る
状況になり得るんじゃないかって。
例えば、一歩間違えれば自分もこの次男坊になる事もあり得るんじゃないかって。

僕らが日常を過ごしている中に潜むきったない部分をひたすら映し出されている感じが
これまた不快で不快で・・・。

先に書きましたが、こう言う事件が起こった時、こっちは何か理由を探してしまう。
本作は理由をしっかりと描いてくれたから、それはそれでもやっとドロッと・・・。

色々と考えて、自戒を繰り返す。
自分がこの立場になったのなら。
自分の周りにこの家族になり得る存在がいたのなら。
支えながら支えられながら、寄り添い寄り添われながら生きなければ。

登場人物で言えば、家族の他に一人、無差別殺人を犯し、死刑囚となった次男坊と
獄中結婚をした女性。
あの子はあの子でなんだかもやっとしたなぁ。
彼女も結局は自分のために生きている人だったんじゃないかなぁって。

あと、本作って被害者側の人間は誰も描かれませんでしたね。
そこもなかなかもやっとさせられました。

作品としてはとても素晴らしく、観て良かったんですが、
二度と観たくない作品。

お勧めして色々と語りたいんだけど、きっと観た人もれなく不快にさせてしまう作品。
重くって重くって救いなんかありゃしない。
これほど光が差し込まない作品もひっさしぶり。

超ド級の不快作品。

良い意味で1点!!

本作の監督は以前観た「その夜の侍」の赤堀 雅秋監督。
なるほど、あの作品も人間のいやぁな部分がふんだんに描かれていたなぁ・・・。

ちょっと「凶悪」とか「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督作品を思い出したり。

さて次回作はどんな作品を撮るのでしょうか。

心して鑑賞すべし!!

≪点数≫
  1点
                                           (18.04.22鑑賞)

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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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