2018-05-23 Wed

2016年制作 邦
監督:小路 紘史
≪キャッチコピー≫
『ここから這い上がんだよ――。』
≪ストーリー≫
ケン(カトウシンスケ)とカズ(毎熊克哉)は自動車修理工場で働きながら、裏では覚せい剤の取引をしていた。ケンは恋人の早紀が身ごもっており、彼女と生まれてくる子供のために人生をやり直そうと考えていた。一方、カズは母親のことで問題を抱えていた。カズは密売ルートを増やすべく、敵対グループと手を組もうと画策するも……。
≪感想≫
主人公のケンとカズ。
二人は覚醒剤を売りさばいて金儲けをしていた。
ケンは彼女の妊娠をきっかけに足を洗おうと考えるが
一方のカズは金の為にさらなる危険な事に足を踏み入れようとしていた・・・。
ひりひりひり・・・。
重くて痛々しい作品でした。
アンダーグラウンドな世界。
「うわ、これ今もどこかでこんな奴らが蠢いているんだろうなぁ・・・」
って。
例えば、時折僕らの前に流れる信じがたいニュース。
そこの延長線上に本作のような奴らがいるんだろうなぁって思ったり。
とにかくこの画面の奥の事はとても現実的に感じました。
その理由として・・・。
何しろ登場人物全員の顔が良かった!!
例えば、似たような作品で「ディストラクション・ベイビーズ」と言う映画がありました。
あれもならず者ばっかりの作品で主人公の男は、誰彼構わず喧嘩を売っては、
止まらない暴力の連鎖を生み出していたお話しで。
ただ、その主人公の男を演じたのが俳優・柳楽優弥さん。
これがまた華のあるお方でねぇ・・・。
怖いんだけど、カッコいいと言うか。
とにかく圧倒的オーラを纏っていたんですよね。
本作の役者陣は良い意味でやさぐれ感、素人っぽさの残る方々ばかり。
だからこそ、身近に感じてひりつく緊張感が伝わる。
ケンとカズはもちろんのこと、二人の舎弟分であるテル。
二人の先輩のヤクザの東堂さん、そして東堂さんにいつもついているアイツ。
それぞれが、身近にいそうで素晴らしかったです。
う〜〜〜〜ん、ちょっと昔話になりますが、僕の中学校はやんちゃな奴らが多くって。
その時代の同級生たちを思い出すと言うか。
本作の彼らはある程度若者になっているのですが、僕の同級生たちも
更生していなければ、彼らのようになっているんだろうなぁ、いや、むしろ
ここに写っているのは、あいつらか!?なんて思ったり・・・(苦笑)
とにかく本作で演じている役者さんたちはもれなく素晴らしかったです。
カズのあの小生意気で憎たらしい顔面。
テルの舎弟感丸出しの顔面。
藤堂さんの怒らせたら取り返しのつかないがつかない顔面。
藤堂さんの部下のアイツのあの無表情で威圧感がハンパ無い顔面。
全て◎!!!!
お話も良かった。
あの引き返す事の出来ない感情と行動。
アンダーグラウンドの悪の道に進んでしまうと、引き返すことができないぜ的な。
物語の着地の仕方もけして光が差し込まない終わり方。
ただ、彼らの中だけには光は差し込んでいるような。
不格好で苦々しく、少しだけせつないような。
本作はバイオレンス描写もたっくさん。
喧嘩シーンではひたすらぼっこぼこに殴るシーンやその後の、
面構えもまた痛々しくってね。
これもまたリアリティ抜群で良かったです。
全体的に暗い作品なんだけど絶え間ない緊張感。
ひりひりと擦り減っていく神経。
おそらく低予算でつくられたであろう本作。
邦画の良い所を存分に出した良作でした。
≪点数≫
8点
(18.02.22鑑賞)

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