2018-03-09 Fri

2012年制作 韓
監督:キム・ギドク
≪キャッチコピー≫
『 ― 』
≪ストーリー≫
身寄りもなく、ずっと一人で生きてきたイ・ガンド(イ・ジョンジン)は、極悪非道な借金取り立て屋として債務者たちから恐れられていた。そんな彼の前に母親だと名乗る女性(チョ・ミンス)が突如現われ、当初は疑念を抱くガンドだったが、女性から注がれる愛情に次第に心を開いていく。生まれて初めて母の愛を知った彼が取り立て屋から足を洗おうとした矢先、女性の行方がわからなくなってしまい……。
≪感想≫
ひっさしぶりの韓国映画。
しかも、僕が抱く韓国映画のイメージにぴったりの作品。
ドロッドロでバイオレンスたっぷりでくらぁい感じ。
僕が韓国映画を観始めたのが「オールドボーイ」や「殺人の追憶」「チェイサー」等々。
ちょっと暗めの印象。
だけどそっからまた色々と観始めて
「ハナ 奇跡の46日間」のような熱血スポ根作品から「10人の泥棒たち」のようなエンタメケイパー作品。
最近ではゾンビ映画の傑作「新感染 ファイナル・エクスプレス」なんてのもありました。
とにかく、韓国映画にも大当たり作品は多数存在しております。
本作の監督はキム・ギドク。
本作でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞。
僕はこれまでの作品としては「弓」「サマリア」辺りを観ています。
独特で難解な作品と言った印象。
最近はハラスメント問題で話題に挙がっていましたね。
詳しくは良く分からないので置いといて、世界的に有名な監督さんである事は間違いなくって。
さてそんな賞を頂いている本作について・・・。
独特なタッチなのは相変わらずでしたが、これまで観た作品の中では分かりやすかったかな。
まず観ていて感じたのはとてつもない「痛み」。
物語は親のいない借金取りの男が、突然母と名乗る女性と出会う的なお話。
この借金取りのガンドと言う男。
こいつの取り立て方がめちゃくちゃ恐ろしくって。
無表情で暴力、暴力、暴力。
情けなんてひとかけらもない無慈悲な男。
しかも感情が表に出ていないので、それが彼にとって良いことなのか悪いことなのかもわからない。
取り立てのシーンは本当に観ていて痛々しかったです。
ただね・・・。
借金取りのお話の時にいっつも思う事があって・・・。
もちろん、高利貸しや悪徳闇金はめちゃくちゃ悪い奴でクズ野郎どもなんですけど、
結局、借りる奴らもろくでなしだったりもするんです。
なかには、しょうがない状況や騙されている人達もいるのでしょうが、
やっぱりなかには自業自得的なやつらもいるんですよね。
そういう奴らが追い込まれているのはほんの少しだけ
「しょうがないでしょ・・・。」
なんて思ったりもするんです。
本作でいえば、冒頭の夫婦がそうでした。
旦那の方が、なんかクズっぽかったんですよね。
なので、ほんの少しだけガンドに肩入れしたり・・・。
あと本作はミステリタッチで、母と名乗る女性が、何のためにガンドの前に
現れたのかを謎々しく描いていて・・・。
オチを知った時はそこまであっとは驚きませんでしたが、その後の展開には
グッと惹きつけられましたよ。
ネタばれしますが、この母と名乗る女性ミソンはガンドの母ではなく、
ガンドが借金を取り立てたために自殺してしまった男の母親だったんです。
ガンドに復讐するため近づいたミソン。
ただ、ガンドに近づき接していくにつれて少しだけガンドの生い立ちに情が生まれ、
少しだけ息子のように接してしまう。
亡き息子の仇のはずなのに、亡き息子に照らし合わせるかのごとく・・・。
クライマックスのミソンの行動は、「それでも・・・」と言ったところでしょうか。
「なるほどなぁ・・・。」
とにもかくにも。
独特な雰囲気は残しつつ、以前観たキム・ギドク作品に比べると
飲み込みやすい作品。
ただ、先に書いた通り「痛み」を伴い、そこに関しては飲み込みにくい
苦い作品に仕上がっていました。
やっぱり韓国作品はこうでなくっちゃ。
とも思ったり思わなかったり・・・。
次は何を観ようかなぁ・・・。
≪点数≫
6点
(17.12.21鑑賞)

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