2017-09-11 Mon

2016年制作 米
監督:クリント・イーストウッド
≪キャッチコピー≫
『155人の命を救い、
容疑者になった男。』
≪ストーリー≫
2009年1月15日、真冬のニューヨークで、安全第一がモットーのベテラン操縦士サレンバーガー機長(トム・ハンクス)は、いつものように操縦席へ向かう。飛行機は無事に離陸したものの、マンハッタンの上空わずか850メートルという低空地点で急にエンジンが停止してしまう。このまま墜落すれば、乗客はおろか、ニューヨーク市民にも甚大な被害が及ぶ状況で彼が下した決断は、ハドソン川への着水だった。
≪感想≫
クリント・イーストウッド監督作。
イーストウッド作品と言えば「グラン・トリノ」「ミリオンダラー・ベイビー」
「インビクタス/負けざる者たち」等々、傑作ぞろい。
本作ももれなく傑作に仕上がっておりました。
2009年、奇跡的な生還劇として知られるUSエアウェイズ1549便不時着水事故、
通称“ハドソン川の奇跡”と、その後の知られざる真実のお話。
本作でイーストウッド監督はできるだけリアルにするために、当時、この出来事に
関わってきた人たちを エキストラで出演させたそうです。
へぇー・へぇー・へぇー。
とにかくこの出来事に関わった人たちがプロフェッショナルな方々ばかり。
物語の中で機長のサリーが、
別に自分だけが素晴らしい事をしたわけではない、周りのスタッフや乗客、
全ての方々の適切な処理に よるものだ的な発言をします。
確かに、劇中ではそのような描き方もされていて。
人々はそれを「奇跡」と呼びたがるが、実はそんな事もなくただの
「事情」と「結果」でしかないのかなって。
本作を観ていて、もちろんこの出来事に感動し、グッときたりもしたのですが、
僕の行動や生活も何かの事柄に影響を与えていて、それがどこかで言われる「奇跡」に
繋がっているのなら、それはそれで素晴らしいなぁなんて。
話がめちゃくちゃそれてしまいましたが(苦笑)
ただ、このサリー機長という男。
本当にプロフェッショナルなお方で。
興奮、緊張の中でも冷静な観察力と行動。
乗客の無事が確認できるまで最後の最後まで気を抜かない。
演じているのは名優トム・ハンクス。
あの、ひたすら思考をしているのがわかる目の動きは、サリーと言う男がどれだけ、
乗客の事を考え、仕事に徹している人間かが存分に描かれていた。
あと、これはイーストウッド監督の演出力なのかもしれませんが、
とにかく出てくる人たちのキャラが立っていました。
先の考え方にいたったのも、何気ない登場人物のキャラにしっかりと
彩が付いていた からなのかなぁって。
例えば、乗客の中にいる親子や子連れの女性、そしてその女性の横に
たまたま乗り合わせた男性。
本当に少しだけしか出てこないのですが、何気に覚えていて。
他にも、機内から脱出する際に海に飛び込んでしまう男性や太っちょおばさん。
サリーがたまたま訪れたバーのマスターやたまたま居合わせた客。
何気に覚えているんだよなぁ。
見せ方がとても巧みと言いますか。
泣かせにかかっていないのに、何故かホロリと泣けてくる。
ひたすら静かな感動を覚えながら鑑賞。
闇の使い方も相変わらず巧み。
真っ暗な映像からぼんやりとサリーの顔が浮かんでくる演出は秀逸。
台詞や表情、視覚的にも聴覚的にも優れた演出。
ここにもプロフェッショナルの仕事の流儀を感じさせる。
いやぁ・・・・やっぱりクリント・イーストウッドはすっごいお方だ。
今後も作品を撮り続けるだろう。
追い続けて損は無い監督さんのお一人です。
≪点数≫
9点
(17.07.13鑑賞)

満足ならクリック!!
スポンサーサイト