2017-01-13 Fri

2007年制作 米
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
≪キャッチコピー≫
『欲望と言う名の黒い血が 彼を《怪物》に変えていく・・・。』
≪ストーリー≫
石油ブームに沸く20世紀初頭のカリフォルニア。鉱山労働者のプレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)は、石油が沸く源泉があるという情報を耳にする。息子(ディロン・フリーシャー)とともに石油採掘事業に乗り出したプレインビューは、異様なまでの欲望で富と権力を手にしていく。
≪感想≫
時代は19世紀末。
ダニエル・デイ=ルイス演じるダニエル・プレインビューと言う男が石油王になっていく一代記。
とにかく濃厚で重厚な作品でした・・・。
一つ。
音楽が素晴らしかった。
とにかく不穏な空気を醸し出す音響。
本作のプレインビューは自分の成功のためには何でも犠牲にして、
とにかく己の成功のために突き進む男。
ただ、隣には常に危うさも潜んでいて。
その危うさを見事に音で表現していました。
音楽と言うか効果音と言うかノイズと言うか。
バランスの悪い音楽は、本作の世界観や内容と見事にマッチしていましたよ。
一つ。
演出が素晴らしかった。
序盤、十数分間くらいかな、ひたすら台詞が無く、プレインビューが石油を掘り起こす作業を
黙々と映し出す。
これが、別になんてことない姿なんだけど、彼の性格みたいな物をしっかりと
映し出されていたような気がするんですよね。
寡黙な感じが。
一つ。
キャラクターが素晴らしかった。
主役のダニエル・プレインビュー。
サイコで極悪非道かと思うとそうでもない。
時折、見せる身内への愛情や、後悔や嫉妬や強欲。
色々、人間味あふれる男だったんですよね。
あとは神をも信じないプレインビューに対しエセ宗教家のポールの存在も良かった。
彼もなんてことない、小賢しい悪党っちゃあ悪党だったんですよね。
演じたのはポール・ダノ。
これまた面構えがいかにもっぽくてとても良かったですよ。
ラスト。
ストーリーがたまらなかった。
何度も書いているかもしれませんが、このプレインビューと言う男が、
色んなものに立ち向かっていく姿。
例えば、自分の事を馬鹿にするライバルたち。
例えば、自分の事を騙そうとする男。
果ては神様にだって反吐を吐く始末。
流れている映像や音楽、そして人間性はとてもダメダメな感じなのに、
その一貫性のある行動には少しカッコ良さが見え隠れするから何とも言えない。
やっている事は本当にクズなのになぁ・・・。
どこかコイツの生き方には筋が通っているんですよねぇ・・・。
クライマックスのポールとの対峙も良かったです。
少しスカッと・・・・はしていないか(苦笑)
とにかく、おもっくるしくて濃厚な作品。
観た後に色んな解釈や考えが思い浮かんでくる。
あれ??思い返すととても凄い作品を観たのでは!?
なんて、点数がグイグイ上がってくる始末。
上映時間は158分と少し長尺でしたがとても良い作品でした!!
≪点数≫
9点
(16.10.23鑑賞)

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