2016-06-09 Thu

2014年制作 米
監督:ウィリアム・H・メイシー
≪キャッチコピー≫
『俺は息子のことを
どれだけ知っていただろうか――』
≪ストーリー≫
銃乱射事件で息子がこの世を去りすさんだ生活を送るサム(ビリー・クラダップ)は、別れた妻から息子が遺(のこ)した自作曲のデモCDを渡される。その曲を聴き息子のことを何も知らなかったことに気付いたサムは、遺品のギターを手に息子の曲を場末のライブバーで演奏する。その演奏に魅了された青年のクエンティン(アントン・イェルチン)はサムを説得し、年の離れた2人でバンドを結成するが……。
≪感想≫※思いっきりネタバレします。
本作はネタバレなしで観賞した方が絶対に良いので、まだ観ていない人は読まないでくださいね。
大学で起こった銃乱射事件で息子を亡くした親父が、息子の残した曲を紡ぐというお話。
中盤まで。
息子を亡くした親父が現実から目を背け、住んでいる所からも離れ、仕事も辞め、
酒に浸る生活を送っていて。
言動や行動も荒んでいて再生の兆しなんて見えない。
観ているこっちも、そりゃそうだよ不意の事故で家族を失ったんだから・・・なんて思ったり。
ただ、彼は死んだ息子が作った音楽を基に再生の道を歩き出す。
息子ぐらいのバンドメンバーもできて、お互いをリスペクトし、徐々に光が射しこむ展開に。
ここら辺まではとても気持ちが良く、失意から希望へと転換するくだりがなんともうれしくってね。
ただね・・・・。
(こっから大きなネタバレしますよ。)
実は、サムの息子は銃乱射事件の被害者ではなく「加害者」だったんです!!
見せ方が凄い巧くって、それまで、被害者っぽい映し方をしていたんです。
それをスッと事実を突きつける。
とても残酷な。
事実を知った時思わずゴクリと唾を呑みこんでしまいました。
ここから、見えてくる事が変わってくる。
彼がやっている事は社会的には許されない事なんですよね。
殺人犯の作った歌をライブで歌い続けている訳ですから。
とは言え・・・。
こんな事件はどこにでもある訳で。
日本でも、車がどっかに突っ込んだり、いじめがあったり、無差別殺人があったり。
少年が犯罪に手を染める事件は多々ある訳で。
そんな加害者の少年少女達にも家族がいるんですよね。
ふと思う。
もし自分の家族や友人が、被害者ではなく加害者になってしまったらと。
ぼんやりとしか想像できないほど非現実的で。
そりゃ逃げたくもなるわさ。
現実を受け入れたくないと思うでしょう。
本作のサムもそうだったんですよね。
ただ、それでも受け入れなければいけない訳で。
自らの悲しみも受け入れ、被害者への贖罪もしなければならない。
基本的にサムの退廃的な行動や言動には辟易したりもしたんですが、
ラストのあの独唱を観ているとやっぱり心が、震えました。
おススメの良作でした。
曲も良かったなぁ。
サントラ欲しいです。
余談ですが・・・。
大好きなバンドMr.Childrenの「タガタメ」という曲。
あの曲の歌詞に
「でももしも被害者に 加害者になったとき ~」
なんて節がありました。
あれは、反戦をテーマに描いた曲なんだろうけど、ふと思い出したりもしました。
≪点数≫
7点
(16.04.24鑑賞)
こちらサントラ。

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