2016-05-19 Thu

2014年制作 米
監督:ベネット・ミラー
≪キャッチコピー≫
『なぜ大財閥の御曹司は、オリンピックの金メダリストを殺したのか?』
≪ストーリー≫
大学のレスリングコーチを務めていたオリンピックメダリストのマーク(チャニング・テイタム)は、給料が払えないと告げられて学校を解雇される。失意に暮れる中、デュポン財閥の御曹司である大富豪ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、ソウルオリンピックに向けたレスリングチーム結成プロジェクトに勧誘される。同じくメダリストである兄デイヴ(マーク・ラファロ)と共にソウルオリンピックを目指して張り切るが、次第にデュポンの秘めた狂気を目にするようになる。
≪感想≫
実話に基づいたお話。
アメリカの3大財閥と言われるデュポン家の一人がオリンピック金メダリストを殺すというショッキングな実話。
これって純度何%ぐらいなのかな。
とにもかくにもこんなお話が本当にあったんですね。
怖い怖い。
さて本作について。
とてつもなく緊張感あふれる作品に仕上がっていました!!
演出が凄い。
本作とにかく、穏やかな沈んだトーンで進んでいく。
音楽も殆どなくって、重低音な音が時折流れる感じ。
この静かな感じが物語と相まって物凄く緊張感が溢れる展開に。
キャラクターが凄い。
本作の主要キャラは3名。
チャニング・テイタム演じるマーク・シュルツ。
彼は兄へのコンプレックスを抱えながらレスリングを愛し続ける男。
デュポンに拾われるも、またそのプライドを傷つけられ転落していく。
彼を見ていると、巷で話題になっていた元プロ野球選手の清原を彷彿とさせるんですよね。
とても繊細な感じとか、世間や周りとのズレを思うように解消できていない感じがね。
強いように見えて、とても弱い人間なのかなって。
凡人の僕には分からない領域なのでしょうが・・・。
マーク・ラファロ演じるデイブ・シュルツ。
献身的に弟マークを支えながらも自らもレスリングにまい進する。
本作の善なる存在。
家族にも優しく、弟にも優しく、また周りのメンバーにも優しく接する。
まず、このデイブとマークの兄弟の関係性が素晴らしい。
ブロマンス的というか。
お互いが支え合いながら二人三脚でやっている感じがまたイケていてね。
とにかくこの二人の関係性はとても素敵でした。
そしてそして。
本作の核なる存在であるジョン・デュポン。
地位も名誉も持っているはずなのにあのような人間に育つなんて。
何でも持っているはずの人間に足りなかったのは母の愛情。
母親からの愛情を手に入れるためにレスリング業に取り組むも、報われずに本人の心は
あらぬ方向へと進んでいく。
これがまたとても穏やかな演出なのでとても残酷で克明に映し出される。
このジョン・デュポンという人物。
最初っからとても怪しくって。
怪しいというか怖いと言った方が良いか。
何を考えているのか分からないサイコチックな表情で心の闇が溢れだしていたんです。
観ているこっちはゾゾゾってね。
演じたのはスティーブ・カレル。
「・・・・ええ??スティーブ・カレル??」
僕の知っているスティーブ・カレルは「ゲット・スマート」や「エンド・オブ・ザ・ワールド」のアイツだぞ!?
こんなに狂気的な感じでしたっけ??
もっとコメディ色が強い俳優さんのイメージでしたが・・・。
とにかく、本作のジョン・デュポンはインパクトの強いキャラでした。
スティーブ・カレルは本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされたんですって。
納得の演技力でしたよ。
お話が凄い。
本作は実話を基に作られた作品。
時は1990年代。
まだ最近のお話なんですよね。
しかも、ジョン・デュポンはつい数年前に獄中で亡くなったみたい。
本作を鑑賞後、色々調べたら、本作ってやっぱりフィクション色も強かったようで。
下記サイトにて、色々面白い記事が載っていました。
http://ciatr.jp/topics/18496
なるほどねぇ・・・。
ただ、本作のように良くできたお話にするのは大歓迎。
もちろん、全部事実としてとらえるのは良くありませんが、映画の緊張感や演出的に必要であれば、
真実は後に調べればいいもの。
実際に、こうやって事実を確認したくなるお話に仕上がっていますもんね。
とても良くできた傑作でした。
おススメです!!
≪点数≫
9点
(16.04.09鑑賞)

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