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No.1192 『ビッグ・アイズ』
No1192 『ビッグ・アイズ』

2014年制作 米
監督:ティム・バートン

≪キャッチコピー≫
『大きな瞳だけが知っている。』

≪ストーリー≫
1950年代から1960年代にかけて、哀愁漂う大きな目の子供を描いた絵画「BIG EYES」シリーズが世界中で人気を博す。作者のウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)は一躍アート界で有名人になるものの、何と実際に制作していたのは内気な性格の妻マーガレット(エイミー・アダムス)だった。自身の感情を唯一表現できるBIG EYESを守るため、マーガレットは自分が描いたという事実の公表を考え……。

≪感想≫
実際にあったお話を基に作られた本作。

世界的に有名になった画の作者が実は影武者が描いていたというお話。
時は、1950年代、その頃のアメリカは男尊女卑がはびこる時代だったらしくって。
個性的な画を描くマーガレットは偶然出会った画家志望のウォルターと恋に落ちすぐさま結婚。
二人は自らの画を売りに奔走するが、たまたま売れたのはマーガレットの画。
ウォルターは自分が描いたと嘘を重ね、金もうけに精を出すことになるが・・・。

まずは本作の肝である画について。
タイトルにもある通りこの方の画のタッチの特徴は「大きな目(ビッグ・アイズ)」。
その作風は多くの方に影響を与えてきたんだって。
それこそ、本作の監督であるティム・バートンもそう。
彼の「コープス・ブライド」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のキャラクターデザインは
確実に影響を受けていますね。
あとは、僕が思ったのが日本の奈良美智さん。
彼の画で描かれている少女も仏頂面と大きな目が特徴。
本作のマーガレットの娘を見ていると奈良さんの描いている少女を彷彿とさせていましたよ。
僕は絵心なんて皆無でド下手レベルでセンスも才能もないのですが、
そんな僕でもこういう画のタッチはとても大好き。
ちょっと奇天烈というか個性的でキャッチーな感じは◎。
画集が欲しいぐらい。

さてさて、そんな画のバックにはこんなに暗くて憎たらしい物語があったんですねぇ。
まず、この旦那さん(ウォルター)がすっごいゲス野郎でして。
奥さんに書かせた画を自らが描いた絵とし得意の話術と狡猾さで儲けまくる訳です。
しかもなんの悪気もなくね。
それが観ていて本当に胸くそ悪かったり。
ただね・・・。
彼は彼で画の才能ではなく口の才能を活かし、奥さんとコンビを組んで世に出ている訳で。
もちろん、人を騙したり、奥さんを抑圧しているのは最悪な事なんですが、
少しだけ彼のやっている事に理解している自分もいたり。
彼も少しずつ、泥沼にはまっていって悪に染まっていっている感じもしましたしね。
最後の方なんて完全に狂っていましたもん。
なので、本気の本気で憎たらしい人間ではないのではなんて。

・・・んんーーーー、いや、やっぱり違うか。
マーガレット本人も少しは罪悪感はあるとはいえ、ウォルターがしたことは洗脳に
近いものがあるからね。
時代と風習に付け込み、抑圧するというか。

本作は、宗教的な側面も描かれていました。
僕は無宗教なので、ここら辺のセンシティブな問題は良く分からないのですが、
本作でマーガレットを救ったのは「エホバの証人」という存在も大きかったようで。
彼女が訴訟に踏み切ったのは、この「エホバの証人」の方と会ったのがきっかけっぽかったし。
その点は少しピンとこなかったかな。

そしてそして、本作、何と言っても僕的メガヒットは、ウォルターを演じたクリストフ・ヴァルツ。
この人が演じたからこそ、ウォルターというキャラクターがメチャクチャ栄えたんじゃないでしょうか。
出てきた瞬間から、
「なんだこの口から生まれてきたようなキャラクターは!!」
「胡散臭さが大爆発しているな!!」
どこかコミカルで、どう見てもアーティストにありがちな繊細で穏やかな印象がまったくない。
そこがまずすっごい良い味出していたんですよね。
クライマックスの裁判シーンの一人芝居・・・。
思わず笑ってしまいましたもん。
そこからの画を書かされるシーンまでのくだりは最高でした。

ラストの字幕も良かったですね。
先にも書きましたが、本作は実話を基に作られた作品。
このマーガレットさんは現在も元気に暮らしているようで。
主演のエイミー・アダムスとのツーショット写真には心がほっこり。
一方の、ウォルターのその後には心底げっそり。
この方は死ぬまで、自分の非を認める事が無かったんですって。
実際の写真の彼もこれがまた憎たらしくってねぇ・・・。
この字幕は本作にまたしっかりと実在感を与え良い演出となっていました。

とにもかくにも。
実際のお話という事あって、その時代の社会の流れだとか、クリエイターの苦悩だとか。
そういった自分が知らない分野の事、そして、本作ではハラスメント的な事も描かれていたので、
フムフムと鑑賞することができました。

あと、監督がティム・バートンという事もあって、街並などのデザインはちょっと
奇天烈で良い感じでしたよ。
大満足の一作です。

≪点数≫
  8点
                                           (16.02.14鑑賞)



こちら奈良美智さんの作品集。
興味あります。

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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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