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No.1187 『海にかかる霧』
No1187 『海にかかる霧』

2014年制作 韓国
監督:シム・ソンボ

≪キャッチコピー≫
『あの日、海の上で起こったことは、誰にも話してはならない。』

≪ストーリー≫
チョンジン号は一時、大漁に沸いていたこともあったが、最近は不漁続きで船の維持すら難しくなっていた。八方ふさがりの中、船長チョルジュ(キム・ユンソク)と年少の船員ドンシク(パク・ユチョン)を含む乗組員たちは、やむを得ず中国からの密航者たちを乗船させることに。そして決行の日、海上で中国船から密航者を迎え入れるが……。

≪感想≫
本作、2001年に発生した「テチャン号事件」を基に作られた作品。
とても重たく痛いストーリーに仕上がっていました。

経営に苦慮した漁船の船長が、金のため密航を受け持つことに。
密航者を引き受けた乗組員たちはそれぞれの思惑を抱え密航を成功させようとする。

乗組員は船長を含め6名。
まず、この6人のキャラクターが全て立っていてとても分かりやすかったです。

船長のカン。
彼も根っからの悪党ではなく大好きな船と船員を守るための行動なんです。
ただしこの行動がどんどん凶暴性が増してきて・・・。
演じているのはキム・ユンソク氏。
彼のフェイスがまた素晴らしい。
チェイサー」「ファイ 悪魔に育てられた少年」で見せたあの狂気を思い出しましたよ。
最後の船を守ろうとする行動にはグッと胸が熱くなりました。

甲板長ホヨン。
コイツはカン船長の右腕で船長に心酔している役回り。
リーダーの言う事が全てという感じ。
こういう奴っているよなぁなんて思ったり。

船員のギャングとチャンウク。
この二人のボンクラっぷりがまたえげつない。
性欲と金銭欲にまみれて取る行動は安直だけどなんとなく説得力があって。
つまるところ、自分の欲のための行動しかできないいききったキャラクターは、
分かりやすくって◎。

気の良い機関士のワノおじさん。
この人も中盤から少しずつ壊れていくんですが、それまでの描き方が巧いせいか
こいつの変わりようも違和感無かったです。

最後は本作の良心的存在ドンシク。
素朴な感じで優男臭たっぷりの彼ですが、一人の女性のために立ち上がる!!
ひたすら続く緊張感の中、ずっと応援していましたよ。

とまぁ、この乗組員たちの性格や行動。
一貫性があってとても良かったんですよね。
あと、喧嘩や仲たがいしつつも根っこに流れるファミリー感は消えていなかったのも良い感じ。

とても良いキャラクター達でした。

あっと、密航者の女性ホンメの素朴さも良かったですね。
演じたのはハン・イェリさん。
どこかで見た事あるなと思ったら、「群盗」や「ハナ 奇跡の46日間」にも出ていました。
彼女の最後の行動にも胸がキュッてなったり。

演出、物語について。
本作、とにかく緊張感がハンパない。
序盤は密航者が周りにばれるかばれないか。
中盤は一人の密航者が船員たちにばれるかばれないか。
クライマックスはドンシクVS船員たち。
常に緊張感あふれるシーンの連続で正直、力入りっぱなしでした。
あと、人間の鬼描写がけっこう重くって。
密航者たちをバラバラにして捨てるシーンや魚艙に密航者が死体の山となっているシーンには
思わず目を背けたくなりました。

あとね、本作、物語の締め方がとても良かったんです。
結局、船は沈没してしまい、ホンメとドンシクは船長たちから逃げる事ができるのですが。
砂浜に打ち上げられた彼ら。
ドンシクが目を覚めたらホンメはどこかに消えていて・・・。
何故、彼女はドンシクの下から消えたのか。
そして数年後、彼女らしき女性と顔を見合わせたところで物語がブツッと。
この余韻を残した感じがまたなんともね。
物語が物語なだけにキレの良い終わり方は合っていないような気がして。
とても本作のテーマやストーリーにあった終わり方でした。

やっぱりこの手の韓国作品は素晴らしい。

あと、このような事件が本当にあって、そのお話もまた凄まじい事にゾッとしました。
密輸、密航となかなか聞かないお話ですが、近い海の向こうでは今もまだ行われているんでしょう。
うーーーん。

≪点数≫
  8点
                                           (16.01.17鑑賞)


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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
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