2015-02-16 Mon

2014年制作 邦
監督:藤田 容介
≪キャッチコピー≫
『福田辰男。32歳。今日、恋、はじめます。』
≪ストーリー≫
古めかしいアパート「福福荘」で暮らし、福ちゃんの愛称で親しまれている中年塗装工の福田辰男(大島美幸)は、仕事に忠実で血の気が多く女性には二の足を踏んでしまう性格。そんな福ちゃんのもとに、中学時代に初めて好きになった女性の千穂(水川あさみ)がおよそ20年ぶりに訪ねてくる。カメラマン修業中の千穂と一緒に過ごすうちに、福ちゃんはかつて自分を女性恐怖症に陥れた張本人の千穂に思いを募らせていく。
≪感想≫
なかなかの掘り出し物を発見!!
朗らかな良作。
1つ目。
キャラクターとキャスティングの妙。
本作の売りは何と言っても、お笑い芸人「森三中」の大島さんがおっさんの役をやるという試み。
正直、観る前はその違和感のせいで
「どうせ、色物、出オチ一発の作品なんでしょ?」
なんて抵抗感もあったんです。
いざ鑑賞して見ると・・・。
もちろん最初は違和感ありました。
それが、ドンドン観ていく内に、見え方が変わってきて。
おっさんなんだけど少し女子的な優しさとか包容力も醸し出した人間(おっさん)に
見えてきたんです。
確かに違和感がないとも言えないんだけど、そこに映っている人はやっぱりおっさん。
実在感がハンパなくって。
これは素晴らしいの一言。
そしてこの福ちゃんというキャラクターがメチャクチャ良い奴なんですよね。
ちょっと朴訥で純粋でだらしない好男子。
このキャラクターと先に書いた大島力が相まって見事に覚醒していて。
ぜひ友達になってください(笑)なんて。
他のキャラクターもみんなそれぞれがしっかり立っていました。
福ちゃんの相方のシマッチ(荒川良々さん)。
こいつがまた憎めなくていい奴なんですよね。
親友の福ちゃんとのやりとりや他の人とのやり取りでのオヤジギャグ。
そしてあの何とも言えない飄々とした面構え!!
最高でしたよ。
福福荘に住む住人達。
東大卒の引きこもりの馬淵や、過去の業をしょった青年野々下君。
それぞれブラックなんだけどいい味出していて。
他にもカレー屋さんの店長(古舘寛治)とのやり取りや、プロ写真家の沼倉とのくだり。
みんなそれぞれ、キャラクターと役者さんの顔が見事にマッチしていてとても楽しめました。
2つめ。
お話の妙。
本作、ほのぼののんびりコメディ作品に見えがち。
僕は本作を映画館で鑑賞しましたが、何度も笑い声が上がったし、
実際に僕もクスクスと笑っていました。
ただね・・・。
実は本作、笑いの中にもしっかりと「痛み」も描いているんですよね。
登場人物のほとんどが過去の何かを引きずって生きてきた人たちで。
それを受け入れ、許し、許され、また歩き出す。
そこら辺が綺麗に収まっていて、そこまで非現実的ではない。
スッと入ってくるお話はとても後味が良いものに。
良いですねぇ・・・。
なにはともあれ。
僕のように、異色のキャスティングと言うことで敬遠している人も、
おそらく想像とは違った感想を持たれること間違いなし。
掘り出し物の良作を見つけたい人は是非鑑賞あれ!!
あ、そうだ。
本作、主題歌も良かったなぁ。
中盤、主題歌が流れる楽しいダイジェストシーンは観ていて微笑ましく幸せな気持ちになりましたよ。
≪点数≫
8点
(15.01.03鑑賞)

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