2023-09-26 Tue

2022年制作 英/米
監督:シャーロット・ウェルズ
≪キャッチコピー≫
『 - 』
≪ストーリー≫
11歳のソフィは、夏休みに離れて暮らしていた31歳の父カラムとトルコのリゾート地へ行く。カラムが手に入れたビデオカメラを向け合い、ふたりは親密な時間を過ごす。20年後、父と同じ歳に成長したソフィは、懐かしい映像の中から父の記憶を呼び起こし……
≪感想≫
特に大きな出来事があるわけでもない。
淡々と映し出される父娘の交流。
ただ、それはとても微笑ましい映像のはずなのに、どこか物憂げで切なさを感じる。
何か「死」の匂いを感じる。
何か「生きづらさ」を感じる。
カラムは父親でありながらも不完全で不安定な人間なのでしょう。
もちろん完璧な人間なんているわけじゃないのは分かっている。
どこか不安定さを感じる父親。
一方のソフィも少女から女性へと変わるために背伸びをしているお年頃。
彼女は彼女で心の成長速度が加速していく。
クライマックス。
現在のソフィの姿がカラムと重なり合う。
やはり彼女も不安定な印象を受ける。
いま彼女は何を思うのでしょうか・・・。
演出について。
水面に映る姿、鏡越しの姿、カメラ越しの姿。
とにかく何かを通して人物を映し出す手法を多用していたような。
そこも、どこか過去の物として描かれているようで、やっぱり
エモーショナルな気分にさせられる。
所々、LGBTQが浮き彫りになる演出やお話がちらほら。
カラムもまた当事者だったのかなと思ったり。
あくまでも僕の解釈ですが、カラムは自死を選んで今は生きていないんじゃなかろうか。
なんなら、終盤、自ら海へ消えていくシーン。
あれは時系列的にソフィが帰ったあとのお話なんじゃないのかなとすら思えました。
そんなこんなで。
何を描いているのか、どういうお話、どういうゴールに向けて進んでいるのか
分かりにくく、受け手の解釈にゆだねるとても幅の広い作品。
とても柔らかく暖かなお話なのにとても切なく悲しい気分に。
今の社会問題やワイドショーを賑わせている出来事とリンクしていて
少しくらっちゃいました・・・。
ふぅ~・・・。
そうそう。
父娘を演じた役者さんは二人とも◎。
とても素晴らしかったです。
≪点数≫
5点
(23.07.16鑑賞)

満足ならクリック!!
スポンサーサイト