2023-04-12 Wed

2022年制作 米
監督:マリア・シュラーダー
≪キャッチコピー≫
『世界中の
#MeTooに
火をつけた
1つの記事』
≪ストーリー≫
ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン・トゥーイー(キャリー・マリガン)とジョディ・カンター(ゾーイ・カザン)は、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが数十年にわたり、権力を笠に着た性的暴行を重ねていたという情報を得る。取材を進めるうちに、彼がこれまで何度も記事をもみ消してきたことが分かる。被害女性たちは多額の示談金で口を封じられ、報復を恐れて声を上げることができずにいた。問題の本質は業界の隠ぺい構造にあると気付いた記者たちは、さまざまな妨害行為に遭いながらも真実を求めて奔走する。
≪感想≫
数年前。
敏腕映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏が長年に渡り多くの女優やスタッフたちに
性的暴力を振るっていたという報道。
ここから世間は「#MeToo運動」へと発展。
その報道の立役者となった二人の記者のお話。
報道当時、もちろん僕もその事件は知ることになったし、とても不快な気持ちになりました。
何が不快って、このようなハラスメントって被害者に肉体的なダメージを与えるのは
もちろんですが、一番は心までも殺してしまうということ。
ハラスメントを受けた人は、一時ではなく長年、もっと言うと死ぬまで癒えることのない
傷を負ってしまう。
そんなことは加害者にとってはどこ吹く風。
そこに快感を感じ、当たり前のように次なる獲物を探していく。
自分の地位や性に服従させ相手を蹂躙する。
悔しくって憤りを感じざるを得ない状況にもやもやもやもや。
そんな中、ニューヨークタイムズの記者たちは立ち上がる。
一歩ずつ、一歩ずつ。
丁寧に被害者たちを説得し、守りながら背中を押していく。
その行動がより良い社会に繋がるようにと。
きっかけとなる事件はとても痛々しく辛い事柄なんだけど、
そこから立ち上がって、前へ進もうとする姿はやはり守られるべきで
とても尊い。
グッと腹をくくる。
ただね。
一つだけ気になったことが。
ジョディが証言者を探していく中で、事件について何も知らない被害者の旦那さんに突撃するシーンがあって。
話を聞いた旦那は動揺し、困惑する。
これは本人の口から聞くべき事実だったりするんじゃないのかなぁと思ったり。
本人も誰にも話せずずっと苦しんでいて、それでも生きていて
今の生活を確立している。
それを良い方向だとはいえ、他人(マスコミ)が来て家族に混乱を招く。
正義を貫くことも大切なんだけど、はたしてこのやり方が
本当に間違いないのか・・・。
ここら辺はマスコミの在り方というか、事実を明かすことの
難しさみたいなものがぐらっぐらしましたよ。
この手の問題って確実に悪い奴やシステムが存在していて、ただ、それを暴くため、
是正するためには、また少しだけ誰かが犠牲をこうむらないといけないという少し
矛盾した流れになっちゃって、決してスッキリはしないんですよね。
もやもやもやと。
それでもやっぱり声を上げることは必要だし、少しでも良い方向へと進んでいることには
間違いないので良いのですが。
なんとも歯がゆいですね。
キャストについて。
少し話はそれますが。
本作の主要人物の一人を演じたのはキャリー・マリガン。
以前観た傑作「プロミシング・ヤング・ウーマン」でもクズ男どもに
復讐する役どころでしたが、本作でも、弱者に寄り添うとてもカッコいい
キャラクターでした。
さらに大好きになりましたよ。
そんなこんなで。
恐らく今もどこかでこういったハラスメントははびこっていて。
全てを無くすことは難しいかもしれないけど、一つずつ一つずつ、
一歩ずつ一歩ずつ立場の弱き存在のためにより良い社会に
変えていかなければと強く思う。
地味ながらもとても力強く素晴らしい作品でした。
≪点数≫
8点
(23.01.21鑑賞)

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