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No.2020 『ベルファスト』
No2020 『ベルファスト』
2021年制作 米
監督:ケネス・ブラナー

≪キャッチコピー≫
『明日に向かって
笑え!』

≪ストーリー≫
北アイルランド・ベルファストに暮らす9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)は、仲の良い家族と友人たちに囲まれ、映画や音楽を楽しむ幸せな日々を過ごしていた。しかし1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民を攻撃したことで、彼の穏やかな日常は一変。住民同士が顔なじみで一つの家族のようだったベルファストの街は、この暴動を境に分断されてしまう。住民の間の対立が激化し、暴力と隣り合わせの日々を送る中、バディの家族は故郷を離れるべきか否か苦悩する。

≪感想≫
監督のケネス・ブラナーの自伝的作品。
1960年代の北アイルランドのベルファストを描いた本作。
当時、北アイルランドでは紛争が起こっており、キリスト教の
プロテスタント派がカトリック派を迫害していたみたい。
宗教が絡んだ紛争はいつの時代でも少なからず起こっているんですね。

さてさて。
なんでしょう、そこで起こっていることはとても悲劇であり惨劇で
あるのだけど、やっぱりそこには自由と希望と幸せに満ちた世界も
描き出されていて。
ほっこりとしたかわいらしい多幸感溢れる傑作でした。

主人公の少年バディの目を通して社会を映し出す。
紛争や暴動が起こっている傍でも、普通の生活は
以前観た「この世界の片隅に」や「ジョジョ・ラビット」を思い出しました。
特に少年の視点という意味では「ジョジョ・ラビット」に近かったな。
どちらも、僕的にはベスト級の傑作。

演出について。
本作は基本的にはモノクロで描かれた作品。
冒頭のカラー映像から、1960年代にスライドしてモノクロになっていく
オープニングの演出は、今年ベスト級のオープニングシーン。
あと、このモノクロ演出のおかげで、重々しく描かれそうなバイオレンスな
シーンも少し寓話的というかフィクショナルに観えたんです。
これはこれでとても良い演出だなぁと。

そして本作は映画愛にも満ちた作品。
監督の自伝的作品ということで当時の映画もいろいろと映し出される。
しかも当時の映画を映すシーンはカラーで描き出されていて。
これもまた素敵な演出だったんですよねぇ。

音楽も良かったな。
何度も書きますが、実は本作で描かれていることって、とても
暗いことだったりするんですよね。
それを、様々なアッパーでポップな音楽で、とても軽やかに楽しく
映し出されていたんです。
終盤の父親がバディと母親を助ける決闘的なシーンは音楽も相まって
素敵でした。
いやぁ、本当に素晴らしかった。

本作ではバディ少年を中心に彼の目線で家族や社会を映し出す。
これがまたとてもキュートでかわいらしかったんですよね。
彼の表情や行動、一挙手一投足がとっても健やかで純粋。
彼を取り巻く家族もこれまた素敵。
両親や祖父母、時折、発せられる心根から生まれる素敵な思想や言葉たち。
これがまた刺さるんだよねぇ。
例えば、父親のバディ少年に向けられた最後の言葉。
例えば、祖母のバスに乗る家族に向けられた最後の言葉。
祖父とバディの会話の一つ一つ。
バディ少年が成長していくうえで、家族や周りの言葉や優しさが
とても重要なファクターになっていく。
きっと彼の将来はとても素敵になっていくんだろうと確信できる。
(実際、ケネス・ブラナーの自伝なので、わかるのですが・・・(苦笑))
家族の愛情や故郷に対する想い。
そして、そこから離れる時の不安や葛藤。
そこから背中を押す家族の想い。
様々な事情と想いがバディ少年の素晴らしい未来へと紡ぎだす。

とにかく朗らかで健やかで純真な作品。
笑えるシーンもたくさんあるし、最後にはとても考えさせられる傑作。

そんなこんなで。
とても、多幸感に溢れた作品。
現在、ウクライナではロシアの侵攻を受けていて、1960年代の北アイルランドと
同じような悲劇が今なお行われている。
そこには同じようにバディ少年のように健やかに過ごしていた少年が
いるし、その子が好きな家族や友達、そしてその家族にも仲間がいて
楽し気に暮らしていたんでしょう。
とても切なくなります。
はやくこの状況が落ち着いてほしい。
僕らには祈ることしかできないのでしょうか。
もう一歩先の行動を。

≪点数≫
  10点
                                           (22.03.27鑑賞)
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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)