2022-01-24 Mon

2021年制作 米
監督:リドリー・スコット
≪キャッチコピー≫
『生死を賭けた<真実>が裁かれる――』
≪ストーリー≫
中世のフランスで、騎士カルージュ(マット・デイモン)の妻マルグリット(ジョディ・カマー)が、夫の旧友であるル・グリ(アダム・ドライヴァー)から暴力を受けたと訴える。事件の目撃者がいない中、無実を主張したル・グリはカルージュと決闘によって決着をつける「決闘裁判」を行うことに。勝者は全てを手にするが、敗者は決闘で助かったとしても死罪となり、マルグリットはもし夫が負ければ自らも偽証の罪で火あぶりになる。
≪感想≫
またやってしまった・・・。
重々しく重厚な作品。
先日、「空白」を観たときにこの手の作品にくらう傾向があると
言ったばかりなのに・・・。
とほほ。
ただ、本作はとても素晴らしい作品でした。
決して観て後悔のない傑作。
堪能いたしましたよ。
物語は3幕構成で、とある事件を3人の視点で語られる流れ。
恥ずかしながら観た事ないんですが、黒澤明監督の「羅生門」的な描き方なんですって。
第1章 ジャン・ド・カルージュによる真実
第2章 ジャック・ル・グリによる真実
第3章 マルグリット・ド・カルージュによる真実
1章・2章だけでも痛くて重い作風なのに、あの3章の字幕が流れる演出・・・。
これが本作の白眉でこの章こそが「真実」というような字幕の出し方・・・。
これから起こりうる悲劇を、先に描いた部分より生々しく重々しく描かれるかと思うと
ちょっと先を観るのが嫌になったり・・・。
それまで、それぞれの都合で描かれた真実。
特にル・グリがマグリットを強姦するシーン。
薄々、予感していたシーンがさらに酷く描かれる。
何とまぁ、監督の意地の悪さよ。
これまたくらってしまいましたよ・・・。
女性を救うためのヒーロー譚として描けそうな本作。
いやそんなことはない!!
本作で描かれる女性はただただ、男性のためだけにあり、自分の尊厳も奪われ
自由も奪われる。
しかもそれが当たり前にまかり通る社会構造になっていて。
何なら自らの命ですら、男(夫)に握られていて。
これまたくらってしまいましたよ。
こういう事が、現代社会でもどんどん表に出始めているのが何とも言えないですねぇ・・・。
演出でいうと、最後の決闘シーンも素晴らしかったな。
バイオレンス色強めで、メチャクチャ派手で見応えがバッチリな分、
こいつらがやっている事の薄っぺらさが際立つというか。
すっごい、興奮するんだけど萎える感じ。
男ってやつぁよぅ・・・。
腐った社会だよなぁ・・・。
なんて思ったり。
いやはや、本当にやるせない気持ちに・・・。
とにもかくにも。
本作は史実に基づいたお話で。
観ている間は、何となくこんなことがあってそれを現代の問題と絡ませながら描いた作品なんだろうなぁと
思っていると、最後の字幕。
本作に登場している人たちは、実在していて、ほとんど本当にあったお話なんですって!!
へぇ〜、へぇ〜、へぇ〜。
監督のリドリー・スコットは御歳83歳!!
いや、凄い!!
これまたくらってしまった作品ですが、観て良かった!!!!
素晴らしい社会派サスペンスでした。
大満足!!
≪点数≫
9点
(21.10.24鑑賞)

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