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No.1955 『空白』
No1955 『空白』
2021年制作 邦
監督:吉田 恵輔

≪キャッチコピー≫
『空っぽの世界に、光はあるか。』

≪ストーリー≫
スーパーの化粧品売り場で万引きしようとした女子中学生は、現場を店長の青柳直人(松坂桃李)に見られたため思わず逃げ出し、そのまま国道に飛び出してトラックと乗用車にひかれて死亡してしまう。しかし、娘の父親(古田新太)はわが子の無実を信じて疑わなかった。娘の死に納得できず不信感を募らせた父親は、事故の関係者たちを次第に追い詰めていく。

≪感想≫
うわぁ・・・。
うわぁ・・・。
・・・。
久しぶりに途中で観るのを止めたいと思いました・・・。

学校で存在感の薄い女子高生。
家ではぞんざいに扱われていて父親にも抑圧されている様子。
万引きをしてスーパーの店長さんに見つかって逃げ出す途中に車にはねられて死んでしまう。
悪いのは万引きをした少女か。
悪いのは過度な対応をしたスーパーの店長か。
悪いのは少女をはねてしまった運転手か。
悪いのは少女とコミュニケーションをとれていなかった父親か。

みんなが被害者であり加害者であり傍観者であり当事者であり。
人間のダメな部分や嫌な部分をまざまざと見せつけてくれて。
しかもそのダメだなぁ嫌だなぁと思っている自分の事も
何となく否定したくなる感覚に陥るというか。

ひたすら流れてくる人間の負の行為。
マスコミの煽りも今の社会を映し出していて萎えたなぁ。
インタビューの切り取りとか最悪。
それにコメントするニュースキャスターやコメンテーター。
希望の光が一筋も見えない状況にギブアップ寸前。

草加部さんの押しつけがましい善意も心がキュッと。
あの同僚の送別会での最後の挨拶を奪っちゃう件とか。
あの店長に対する行動とか。
自己愛に満ちた善意が凄く痛々しく苦々しい。

なんでしょう。
それぞれの嫌な部分が、観ているこっちも何となく心当たりがあるというか
自分にもあてはまりそうな感覚に陥って、すっごいダウナーな気分に
なっちゃったんですよね。

この分かり合えない、譲り合えないコミュニケーションに
ひたすらくらわされて・・・。
もやもやもやもや。

ほんの少しだけどグッとくる場面や「救い」の場面はあったりもしたんです。
最後の締め方も素晴らしかったし。
父親の見ている風景と、娘の見ている風景がシンクロしたラストシーン。
それまで分かり合えていない部分しか映し出されていませんでしたが、
あのシーンでやっぱり親子の絆を感じることができたし。
何気ない善意にも少し救われました。
例えば充の弟子っこのあいつ。
例えば、最後の土木作業員のあいつ。

加害者である運転手の母親の件とかしびれたなぁ。
観ているこっちはある程度俯瞰で観ている分、それぞれの事情や概要は
把握している方こそ、あの凛とした対応にはやられてしまいましたよ。
そこから少しづつ晴れていくもや。

ただねぇ・・・。
もちろんそこには「救い」はあったりもしたんですけど。
それは、これまでの事を清算するには足りなかったりもしたんですよね。

それでも晴れないこの気持ち。
何が悪いのかとかではなくって、ひたすら霧がかったこの感情。

観終わった後も、ひたすら靄がかかっていて。
なんでしょうこの感情は。
「怒り」「悲しみ」「喜び」とかではなく、かといって
色んな感情が入り混じっているわけでもなく。
もやもやもやもや。

そんな感じで。
だめだ、うまく言い表すことができない・・・。
この靄はいつ晴れるんだろう。

なんでしょう。
メンタル的な問題なのか、最近、この手の作品に耐えうる精神力が
足りてない気がする。
もっと軽い作品の方が良いのかなぁ・・・。

傑作だとは思うんだけど。
満点だとは思うんだけど。
満たされないというか。
やっぱり晴れないこの気持ち。
もやもやもやもやもや。

≪点数≫
  5点
                                           (21.10.09鑑賞)

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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)