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No.1846 『アルプススタンドのはしの方』
No1846 『アルプススタンドのはしの方』
2020年制作 邦
監督:城定 秀夫

≪キャッチコピー≫
『そこは、輝けない私たちの
ちょっとだけ輝かしい特等席。』

≪ストーリー≫
高校野球、夏の甲子園大会。夢破れた演劇部員の安田(小野莉奈)と田宮(西本まりん)、遅れてやってきた元野球部の藤野(平井亜門)、成績優秀な帰宅部女子の宮下(中村守里)が、アルプススタンドの隅で白熱する1回戦を見つめていた。どこかぎくしゃくしている仲の安田と田宮、テストで学年1位の座を吹奏楽部部長・久住(黒木ひかり)に奪われてしまった宮下、野球に未練があるのか不満そうな藤野。試合の行方が二転三転するに従って、彼らが抱えるさまざまな思いも熱を帯びていく。

≪感想≫
甲子園1回戦のアルプススタンド。
そこには何かモヤモヤした男女4人の学生がいて・・・。

とても丁寧でシャレた良作。

ワンシチュエーションというミニマムな世界の中で、
一つ一つの演出を丁寧に、最後の最後まで飽きさせない
ストーリーテリングで紡ぎ出す。
そして、最後にはとても爽やかで暖かな気持ちになれる。
いやはや、本当に素敵な作品。

何気ない会話の内容が後の展開に繋がったり。
とにかく、彼ら彼女ら全ての登場人物にスポットライトをあてつつ、
決して一方向からの描き方をしていない。
みんな、どこかに希望を抱かせるキャラクターたち。
主要メンバーはもちろんのこと、影の主役である矢野や園田、
そしてサブキャラの吹奏楽部のあの二人。
ちょと嫌な奴かと思いきや、最後の涙を流しているシーンはグッときたり。
何不自由ない子だって、その子はその子なりの悩みを抱えていたり。
はじっこ側の子だって、実は真ん中なんじゃんって。
それぞれがキラリと輝いていて、これもまた青春なんじゃんってね。
良いですねぇ・・・。

あとね。
高校野球の素晴らしい面を見せてもらったというか。
なぜ、みんな試合の勝った負けたで号泣している理由が少し腑に落ちたというか。
みんな、それぞれの思いを乗せて目の前の球児たちを応援しているんだよなぁって。

ただ、引っかかった部分もちょっとだけ。
結局、本作のメンバーたちははじの方の人間として描かれているんだけど、
実はど真ん中になり得る可能性の高い心を持った子たちだったんだよなぁ。
僕的にはもっとナナメな学生や鬱屈した学生もたくさんいるし、かくいう僕も、
ここまでキラキラした心を持っていたかというと、そうでもなかったよなぁと。
ちょっと、あまりにも清らかでキラキラした部分が巧みに描き出されていたので、
少しノレない部分もあったり。

ただ、そんなことも瑣末なこと。
基本的には、魅力的なキャラクターやストーリーテリング。
粋な伏線と回収。
何度も巧いなぁと思わせてくれる演出の数々にニヤニヤしっぱなし。

この手の作品で言えば、傑作「桐島、部活やめるってよ」を思い出したり。
あれは苦くて突き刺さるような作品でしたが、本作はそれよりも
まろやかな印象。
ただ、言っていることは何となく重なっていてね。

「あきらめない」事が生み出す奇跡だったり。
「好き」という想いが人を動かす原動力になったりする

そうそう。
これは僕が悪いのですが・・・。
何となく、前情報なしで鑑賞したのでちょっと間違った解釈を
していたんですが、本作の舞台って甲子園1回戦だったんですね!!
何となく地区予選1回戦のイメージでした・・・。
ちょと、画面にリッチさというか、熱量みたいなものがそこまで
甲子園甲子園していなかったというか・・・。
僕的には地区予選という設定で観ていたので、これはこれで
とても良い「勘違い」になっちゃいましたよ・・・。

ふふふ・・・。

そんな感じで。
ミニマムな映画だけどとても丁寧で素敵な作品。
このコロナ禍の中でこういう作品が出てくるというのも何かの縁か。
色んなイベントや大会、学生たちが涙を飲んでいる中、この作品は
一つの答えや前向きになるきっかけになり得るであろう作品なのではないでしょうか。
老若男女、万人にオススメできる良作でした!!

≪点数≫
  8点
                                           (20.09.20鑑賞)

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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)