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No.1716 『愛しのアイリーン』
No1716 『愛しのアイリーン』

2018年制作 邦
監督:吉田 恵輔

≪キャッチコピー≫
『二人で歩む、
   地獄のバージン・ロード。』

≪ストーリー≫
岩男(安田顕)がアイリーン(ナッツ・シトイ)を連れて久しぶりに故郷の村に帰省すると、死んだことを知らずにいた父親の葬儀が執り行われていた。42歳になるまで恋愛とは無縁だった彼がフィリピンから連れてきた妻は、参列者の動揺をよそに夫について回る。すると彼らの前に、喪服姿でライフルを抱えた岩男の母親(木野花)が現れる。

≪感想≫
ど田舎のしがないアラフォー男がフィリピンから嫁を連れて来て
母親が反対するっつーお話。

・・・かと思いきや・・・。

うっわぁ・・・。
強烈な作品に出会ってしまいました。

思っていた作品から二転三転。
圧倒的な「圧力」みたいなものに頭クラックラ。
何でしょう、なかなか感想がまとまんないんだけど、
とにかく強烈な作品だなぁという印象だけが残っていて。

冒頭、しがないアラフォー男の岩男。
パチンコ屋の定員でもちろん彼女なんていなくって見た目もずぼらで卑屈なやつ。
何でしょう、色々な鬱屈を溜め込みすぎて育ったモンスター的な。
演じた安田顕さんがまた見事に演じてくれていて。
あの、表情とか表現とかとにかくすごくって。
いやぁな気持ちになったり応援したくなったり。
つまるところ、こいつのクズっぷりのせいでこういう状況、着地になっちゃったんじゃんって
思ったりもするんですが、よくよく考えるとこいつの性格とか内向的な面も考えると
たまたま歯車が狂っただけで、こいつの性格の根底は良いやつなんじゃないのかって。
それが、表に出すことができないだけ、そしてそれが変な方向にハマっていっただけなんじゃないかと
思うとすっごい切なくってね。

岩男の妻となるアイリーン嬢。
彼女の小狡さと無垢さを備えた魅力的なキャラクターを演じた
ナッツ・シトイさんの圧倒的な実在感がまた素晴らしくってね。
絶妙な笑顔、表情、片言の日本語がとても良かったですねぇ・・・。

そして、恐らく観た人全ての心に刺さったであろうキャラクター。
岩男の母親であるツル!!
演じたのは木野花さん。
いやぁー凄かった。
クライマックスのアイリーンとの雪中のやりとり。
シビれたなぁ・・・。

脇を固めるキャラクターも秀逸。
岩男の父親の哀愁も素敵だったし、アイリーンをさらいに来るヤクザ(伊勢谷友介)は切なかった。
岩男が通うフィリピンバーのフィリピン人も魅力的だったし、岩男の同僚の女性たちの「生」な雰囲気も素晴らしかった。
岩男のお見合い相手の女性も最高だったなぁ・・・。

とにかく登場人物たち、そしてそれを演じる役者さんたちが素晴らしかったです。

お話や演出について。
本作では、例えば田舎の世襲制度だったり、売春問題、偽装結婚、果ては少子高齢化までと
色んなテーマが散りばめられていたように感じました。
何でしょう、これらのテーマが時々「バンッ!!」って押し出されるように僕の胸に突き刺さる。
それまで、胸糞悪くなったり、応援したり、時にはクスクス笑ったりとしていたら急にズシリと
感じる何かがあって。
上手く言語化できないんだけどそこらへんがズシリとね。

鬱々としてんなぁと思っていたら少しほっこりとしたお話を持って来たり、
なんかまた暗くなって来たなぁと思ったら綺麗なラブシーンを観せて来たり、
最後もこれまたえらい所に着地にして来るなぁと思ったり。
すっごいイキきっているんだけど凄いバランスは取れていたなという印象。
憎ったらしいんだけど、そこにほんの僅かかもしれませんが美しさを感じたり。
全体的にはグロくって汚れていたりするんです。
ただ、その中にもってな話。
むむむ・・・上手く言えないなぁ・・・。

ラブストーリーとしてもグッと来る部分もあったし。
アイリーンと岩男の距離を縮めていく部分だったりとか。
アイリーンの本質はツルが求めている嫁像、そのまんまじゃんな部分だったり。
ヤクザの生い立ちと終焉までの過程だったり。
なんかこう、シベれちゃったんですよね。

笑えるシーンもたくさんありました。
岩男の顔芸だったり。
僕的には、岩男が車で轢かれた後のプラトーン的ポーズのシーンとか
思わず笑っちゃいましたもんね。
岩男の同僚のあの下ネタオヤジもクズなんだけどどこか笑えたり。

巧みだなぁ・・・。

とにもかくにも。
二転三転しましたが、本当に刺さる作品に仕上がっておりました。
万人受けはしないとは思いますが、僕は本当に好きな作品でしたよ。
進んでオススメはできませんがね(苦笑)

鑑賞後、色々調べてみると本作は漫画が原作のようで。
なるほどねぇ・・。
興味あります。

≪点数≫
  9点
                                           (19.11.30鑑賞)


こちら原作漫画。
読みたいなぁ・・・。

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映画 | 08:00:00 | トラックバック(0) | コメント(0)