2019-02-10 Sun

2017年制作 邦
監督:入江 悠
≪キャッチコピー≫
『容赦しない
運命が暴れ出す』
≪ストーリー≫
閉鎖的な地方都市で、三兄弟の次男・二郎(鈴木浩介)は市議会議員を務め、三男・三郎(桐谷健太)はデリヘルで雇われ店長をしており、彼らは全く異なる世界で生きていた。ある日父親が他界し、行方をくらませていた長男・一郎(大森南朋)が30年ぶりに帰郷する。一郎は、遺産は自分のものだと主張するが……。
≪感想≫
大好き「SR サイタマノラッパー」シリーズの入江悠監督作品。
「SR 〜」で一躍有名人になった入江監督。
その後も「ジョーカー・ゲーム」「22年目の告白 -私が殺人犯です-」等々も撮っていますね。
僕ももちろん鑑賞。
「SR 〜」は本当に好きなシリーズです。
そういや、続編がないなぁ・・・。
撮ってくれないかなぁ・・・。
それでは本作について。
うわぁ、めちゃくちゃどろっとしていて痛くて重たい作品に仕上がっておりました。
世界観について。
場所は埼玉の田舎都市。
閉塞感漂うアンダーグラウンドな世界で映し出されるドロリとしたエゲツない光景。
出てくるやつらは悪い人ばっかり。
ヤクザまがいのやつらはもちろんのこと、政治家まで悪くって。
正直、こんなことは恐らく実社会では無いのでしょうが(無いと思いたい)、
ただそこに映る痛みや嫌らしさ歪な感情はとてもリアリティがあってね。
女性を物のように扱う男たち。
女性を武器にする政治家夫人。
ヤクザモンを使って暗躍する政治家たち。
アンダーグラウンドで生きるチンピラたち。
観ていてすっごい憎たらしくて痛々しくってモヤモヤする。
それこそ「SR 〜」3作目に出てくる悪い奴らを思い出しましたよ。
キャラで言うと、地元のチンピラを取りまとめているアイツ。
演じたのはラッパーの般若さん。
正直、めちゃくちゃ怖かったっす。
あの有無を言わせない感じとか。
暴力を何とも思わない感じとか。
現実離れしているんだけど、きっとこんな人っているよねっていう実在感は
本当に恐ろしかったです。
あと、主役級の3兄弟。
正直、彼らが心の奥底では何を考えていて、何を求めているのかは
分からなかったりしたんです。
薄ぼんやりとそれぞれの守りたいものが映っていて。
恐らく彼らも自分の感情が本当はどこにあるのか分かんないのかなぁって。
特に主役である進藤3兄弟の行動にはそんな気持ちが見えかくれ。
久しぶりに再会する長兄の存在。
そこから蘇る過去の記憶。
気持ちの整理がつかないままに流れていく様々な事柄。
自分が必要とするのは何なのか守りたいものは何なのか。
本作を観ていて思い出したのが、韓国映画で描かれるドロッとした人間模様。
スタイリッシュでもなくスマートでもなく泥臭い世界。
救いが無いんだけどどこか心打たれる感覚。
二度と観たく無いんだけど心に刺さる感覚。
日本映画でこんな感覚になったのは久しぶりかも・・・。
物語の着地もそう。
決してハッピーエンドではない終わり方。
きっとこれからも彼らの社会は腐敗したまんまだろう。
そして、僕らが生きるこの社会もここまでとは言わないが、こういう腐った事って
少なからずあるんだろうなぁとゾッとしました。
とにもかくにも。
感想を上手く伝えることはできませんでしたが、とてもズシリと来る良作でした。
おススメはできませんが、観る方は覚悟して観てくださいね。
≪点数≫
8点
(18.10.28鑑賞)

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