2018-12-17 Mon

2016年制作 独/オーストリア
監督:マーレン・アデ
≪キャッチコピー≫
『愛は不毛じゃない。』
≪ストーリー≫
ルーマニアのブカレストにあるコンサルタント会社勤務の女性イネス。仕事ばかりの忙しい毎日を送っている娘が心配でならない父親のヴィンフリートは、ブカレストを訪れる。悪ふざけが大好きな彼と折り合いの悪い彼女は、やむなく数日間一緒に過ごすことに。やっと父親が帰国してホッと一息つくイネスだったが、トニ・エルドマンという別人に成り切った彼が再びやって来る。父の真意がわからず、イネスは混乱するが……。
≪感想≫
父親と一人娘の笑って泣ける絆のお話。
あらすじだけを読んでいるとコメディタッチのお話なのかなぁと
思ったらそうでもなくって。
僕的には案外、チクリと身に沁みるグッと来た作品でした。
親の心子知らずなんてまさに。
本作の父親であるヴィンフリート(別名トニ・エルドマン)は娘(イネス)を
心配してお節介な行動ばっかり。
側から見たら確かに鬱陶しい親父の行動だったりするんです。
ただ、それが本当に娘を思っての行動なので無下な心にもならず。
これまたただ、イネスの気持ちも痛いほどわかるので、
「もう、ほっといてやれよ・・・。」
とも思ったり。
親の気持ち。
子の気持ち。
僕は、独身で子供もいないのでどちらかと言うとイネスの気持ちに
共感する事が強くって。
なまじっか親の愛情も感じているだけにこの父親の無鉄砲な行動に
モヤモヤと行ったり来たり。
けど最終的にはやっぱりその人を思っての行動の方が勝つんだよなぁって。
イネスはあくまでも自分のために行動。
父親のヴィンフリートは、イネスが心配ゆえの行動。
もしかしたら、その行動も最終的には自分のためになっているかもしれないけど、
きっかけはイネスのためが最初なんだよねぇ・・・。
ただ、やっぱり側から見ているこっちからすると、なんて最悪なオヤジなんだと
感じたり。
でも、それも心配から来るもんなんだよなぁと気持ちがぐらっぐらと行ったり来たり。
この父親の無鉄砲な行動は一人娘のイネスの心を溶かしていく。
徐々にイネスは成長していく。
人生に必要なものは何かって考え出す。
具体的にはそれは言葉では表さないんだけど、彼女の行動、表情を見ていると
きっとそれはとても良い未来に繋がる事なんだろうとグッとくる。
とにかく出てくる人たちの良き性格が繊細に描かれていた作品。
中でもイネスはとても良かったなぁ。
あの父親に対しての感情とか。
すっげー迷惑なんだけど、無下にできない。
実は心配なんだけど、なんか腹が立つ。
そんな素直になれない自分に腹が立ったり悔しくなったり。
むむむ・・・・分かるぅ・・・。
中盤のヴィンフリートの演奏に乗せて歌うシーンがあったんですが、
これがまたすっごい良かったです。
歌詞もしっかりと彼女の心情にあっていてね。
本作、白眉のシーンだったんじゃないでしょうか。
キャラについては他にも。
僕的メガヒットのキャラクター。
まずはイネスの女性部下(名前は忘れちった)
彼女の従順な感じとか純な感じとか本当に素敵。
クライマックスのイネスの誕生日パーティーに現れた瞬間、
一気に大好きになりましたよ!!
彼女のこの純真さもイネスの成長へと繋げてくれましたもんね。
もう一人はイネスの上司であるあいつ。
なんだかんだでこの誕生日パーティーの企画に乗っかった二人は
本当に善人だなぁと感じました。
親と子の関係について本当によく考えさせられた作品。
僕もこんな親子の関係が築けるだろうか・・・。
この作品がまた照れ臭さに繋がり斜に構えるきっかけにならないと良いな(笑)
ちょっと長尺でしたが、とてもいい作品でした。
独身男性、独身女性に捧げたい良作です!!
≪点数≫
8点
(18.09.15鑑賞)

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