2018-10-19 Fri

2017年制作 ベルギー/仏
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
≪キャッチコピー≫
『あの時、ドアを開けていれば――。』
≪ストーリー≫
若い医師ジェニー(アデル・エネル)が診療時間を大幅に過ぎてから鳴らされたドアベルに応対しなかった翌日、近所で身元不明の少女の遺体が発見される。診療所の監視カメラにはその少女が助けを求める姿が映し出されていた。自分が診療しなかったせいで少女が死んだのではないかという思いにさいなまれるジェニーは、少女の生前の足取りを調べ始める。
≪感想≫
大好きダルデンヌ兄弟監督最新作。
ダルデンヌ兄弟の作品は「ある子供」「少年と自転車」「サンドラの週末」と鑑賞しました。
どちらもテーマ的には重々しい作品でしたが、どちらも良作。
特に「少年と自転車」は好きな作品です。
本作を観ながら思ったのですが、ダルデンヌ兄弟の作風って日本の是枝裕和監督の作風と
似てるなぁと感じました。
ちょっとこう、ドキュメンタリックな撮り方とか、派手な演出を抑えつつ
ドカンと重たいテーマを投げかけてくる的な。
本作について。
女医のジェニーは時間外の少女の診察を断るも、翌日、その少女が死体で発見される。
ジェニーは自分が診察を受け入れていたら彼女は死ぬことは無かったんじゃないかと、
自責の念にかられ、彼女の身寄りを探し始める・・・。
これまた、ミステリアスなお話・・・と思いきや。
ジェニーが信念に基づいて行動する中で浮き彫りになってくる、社会的な問題や
個人の悩みや想いがどろりと溢れ出てくる。
殺された少女の問題でいうと、恐らく移民問題であったり。
恐らく売春問題だったり。
序盤にジェニーの下で勉強する研修医の問題でいうと恐らく
親と子のコミュニケーション問題だったり。
掘り下げると児童虐待問題だったり。
そこらかしこにそんな問題が見え隠れする。
その上、社会問題とは別に個人的な問題もあるからそれはもう複雑で。
そんな様々な入り組んだ社会、人間をあくまでも自然に映し出す。
むむむ・・・さすがですねぇ・・・。
キャラクターについて。
本作の主役であるジェニー女医。
物語は彼女を通して進んでいく。
ジェニーは「信念」の人。
自ら起こした行動を反省し少女のために、そして自分のために行動する。
どんなに恐ろしい目にあっても、どんなに邪魔をされようとも。
少し淡々としながらも力強く実行していく彼女はとても凛々しく逞しい。
素晴らしい人間像でしたよ。
やっぱり巧みだなぁという感想のダルデンヌ兄弟作品。
今後も追い続けていきたい監督さんたちです。
≪点数≫
8点
(18.08.05鑑賞)

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