2018-04-30 Mon

2013年制作 邦
監督:是枝 裕和
≪キャッチコピー≫
『6年間育てた息子は、他人の子でした』
≪ストーリー≫
申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。
≪感想≫
「海街diary」「歩いても 歩いても」等の是枝監督作品。
本作はカンヌ映画祭で審査員賞を受賞したようです。
僕はこの是枝作品が大好きで。
「海街diary」は昨年のベスト。
「歩いても歩いても」は2011年のベストに入れております。
とても大好きな監督さんの一人です。
さて、本作について。
いやはや、やっぱり素晴らしい作品を撮りますねぇ・・・。
物語は実際にあった病院の赤ちゃん取り違え事件を基に作られたお話。
大事に6年間育ててきた子供が実は他人の子供で・・・。
親子の形とは、血なのかそれとも時間なのか。
まず、本作ってとんでもなく演出が見事で。
無駄な会話、無駄なシーンが殆どなくって。
一つ一つの言葉や行動に意味が込められている感じ。
会話の端々に本作のテーマである家族とは、親子とは、
父とは母とは的な想いが込められる。
観ているこっちもひたすら思いめぐらせながら鑑賞。
テーマがテーマだけにひたすらもやもやもやもやと・・・。
人間関係やそのキャラの背景などもうまく描いているので、物語への没入度が
とても高かったです。
本作で描いているテーマについて。
親子の繋がりで大事なのは果たして血なのか時間なのか。
僕的には、子と親の繋がりはやっぱり血が繋がっていようといなかろうと
やっぱり一緒に過ごしてきた時間が大切だと思っていて。
これは夫婦や友達や仲間も一緒なんですけど、互いに思いあっている時間が
多ければ多いほどその繋がりは太く深くなっていくんじゃないかって。
人が成長していくのは、この世界に生きている限りは一人では無理だし、周りと
支えあって生きていかないといけない。
だから単に血が繋がっていると言うだけで親子になれるかというと
そうでもないんじゃないかなって思うんですよね。
ただね・・・。
本作の良多の気持ちもわからないでもないんですよね。
例えば、僕が同じような状況になった時。
自分に自信がなかったり、子供や家族に対して不満や不安を多少なりとも感じていたら、
恐らく、目に見えるというか形に残る繋がり、理由を探してしまう気もするんですよね。
それが、「血」の繋がりという確固たる理由だったりもするのかなって。
基本はやっぱり共にに過ごしてきた時間を大事に。
それまでの子供への想いを考えると、おいそれと「血の繋がり」だけでは手放すことも
できないですもんね。
本作も着地はそういう感じで終わっていました。
彼らの未来はどうなっていくのでしょうか。
願わくば、子供たちにとって光がさす未来であってほしい。
例えば、子供たちがこれから成長していって
「実は僕は、両親が二組いてさぁ、ははは。」
なんて笑って話せる、それこそこの環境をプラスに捉えられるような
大人に成長してほしいなぁ。
まぁ、この二組の両親に育てられる彼らならそうなるんだろうなぁとも思ったりもします。
物語の中盤、この事件の核心が明らかになります。
実は、この事件は偶然起こったわけではなく人為的なものだったんです。
しかもこの犯人は、自らの環境に嫌気がさし、他人を傷つけることで憂さ晴らしをするという陳腐な発想。
この犯人(看護師さん)もまた家族について悩みを抱えていたんです。
反省をして自供をしたんですが、すでに時効を迎えているので罪はなし。
僕的には、もっと制裁を!!なんて思ってもやっとしたのですが、彼女は彼女で
罪を背負って生きていく覚悟はできているようなので、歯を食いしばって眺めているしかできなくって。
分かるけど、それでも腹が立つなぁ・・・。
この事件の真相に関してはすっごいもやもやしました。
あと、本作はタイトルにもあるように主人公の良多が慶多の父になっていく成長譚でもありました。
良多自身も親との確執が残っていて。
自分の子供である慶多にも決して良い親ではありませんでした。
それが今回の事件を通して、自分の子供と向き合い、妻と向き合い、
親とは何なのか、父親とは何なのかを考えさせられ、気づかされていく。
クライマックスの慶多への独白には心底グッときました。
やっぱりそうなんだよなぁって。
駄目だろうと良かろうと父親は父親。
先に書いたことに矛盾しそうですが、血の繋がりだろうが過ごした時間の長さだろうが
父親であることには間違いなくって。
だからこそ、自分の子供に愛情を注ぎ互いに成長していくことが必要なんだよなって。
うまく伝えられないのがとてももどかしいのですが、
とにかく、本作を見て家族について色々考えさせられたなぁと。
僕は独身なので子供がいたらまた違う視点で観れたんだろうなぁって・・・。
ただ、子供ができる前に観れて良かったなぁとも思ったり・・・。
とても素晴らしい作品でした。
≪点数≫
9点
(18.01.14鑑賞)

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