2018-04-20 Fri

2010年制作 邦
監督:李 相日
≪キャッチコピー≫
『ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の“悪人”なのか?』
≪ストーリー≫
若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。
≪感想≫
吉田修一原作小説を実写映画化。
原作は未読ですが、この吉田さんの作品は何作か読んだことがあって。
ちょっとドロリとした印象で。
ただし、これまた実写化された「横道与之介」と言う作品がありまして。
これが、僕的にメガヒットしたんですよね。
原作も映画もどちらもすごい素敵な作品でした。
こちらはこれまでの印象と違ってとても柔らかい作品でした。
他にも、「パレード」「さよなら渓谷」、最近でいうと「怒り」が
実写化されましたね。
さてさて、本作について。
う〜〜〜ん、まぁまぁまぁ。
良い意味で悪い奴がたっくさん。
嫌な奴がたっくさん。
最初は観ていてとっても不快でしたよ。
主役の祐一も自分勝手な男で嫌な奴だったし。
祐一に殺されてしまった佳乃も自分勝手な女で嫌な奴だったし。
その佳乃が思いを寄せる大学生増尾もすっごい嫌な奴だったし。
他にもハイハイ学校の悪徳会社も嫌な奴だったし。
とにかく、嫌な奴のバックボーンが読めないぶん、ただただ悪人にしか見えなくって。
本当に不快でたまりませんでした。
終盤に進むにつれて、祐一のバックボーンや光代のバックボーンも描かれるので、
ほんの少しだけ肩入れしたくなる。
特に光代の閉塞感は以前観た「紙の月」という作品の梨花を思い出したかな。
ただ、描き方としては「紙の月」の方が良かったかな。
結局、悪いこと(殺人)を起こしたのは祐一なのに、その周りの悪い奴らを
描いて、祐一にも同情すべき部分もあったんじゃないかって描き方なんだけど、
僕的には、やっぱり人を殺してしまったという事実は残っているから、その罪は
償わなきゃなぁって、もやっとねぇ・・・。
もちろん、祐一も寂しいやつで孤独を抱え込んだ男だったんだけど、
祐一があまりにも美化されているような気がしてね・・・。
あと、演じた俳優さんが妻夫木くんだったというのもあるのかな。
最後の最後まで綺麗なお顔に見えたんですよね。
もう少し野暮ったく描いてくれても良かったのになって。
少し、ノリきれなかったです・・・。
光代に関してもそう。
そもそも祐一にあそこまで惹かれる理由がそこまでピンとこなかったかな。
確かに光代も毎日を退屈に過ごしていて、湧き上がる欲求も解消することもできない。
誰からも求められず、ストレスは溜まるばかり。
日々繰り返される退屈な日常の中に現れたのが祐一。
そこに惹かれ、すがるのはわからないでもないけど、殺人事件を起こした人間に対して
あんな対応とるかなぁ・・・。
距離の縮め方にちょっと違和感が・・・。
むむむ・・・登場人物の描き方に少しざらっとした感想を持っちゃいました。
良いやつと嫌なやつがはっきりしすぎているというか・・・。
もっと微妙なバランスで描いた方が良さそうな内容なんですけどねぇ・・・。
ちょっと消化不良気味。
とにもかくにも。
吉田作品の毛色はしっかりと描けていた本作。
次は何を鑑賞しようかな。
ただ、こんな作品は結構見るのに体力がいるんですよねぇ。
「横道世之助」のような作品が良いなぁ・・・。
≪点数≫
6点
(18.01.06鑑賞)
こちら原作。
未読です。

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