2018-01-10 Wed

2017年制作 米/伊/メキシコ
監督:マーティン・スコセッシ
≪キャッチコピー≫
『なぜ弱きわれらが苦しむのか――』
≪ストーリー≫
江戸幕府によるキリシタン弾圧が激しさを増していた17世紀。長崎で宣教師のフェレイラ(リーアム・ニーソン)が捕まって棄教したとの知らせを受けた彼の弟子ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)は、キチジロー(窪塚洋介)の協力で日本に潜入する。その後彼らは、隠れキリシタンと呼ばれる人々と出会い……。
≪感想≫
遠藤周作の同名小説をマーティン・スコセッシ監督が映画化。
私、この遠藤周作の小説を恥ずかしながら読んでいないんです・・・。
ちょっと、周りの友人とかに聞いてみると、結構、読んだことのある人が
多くって、いかにこの作品がポピュラーな作品だと改めて思い知らされました。
反省・・・。
そんな遠藤周作弱者の私がまずは映画から鑑賞してみました。
さてさて。
何とも重たくて濃厚な良作でした。
江戸時代初期の長崎。
キリスト教を布教していたフェレイラ神父が棄教したという情報がローマへ届く。
その事実を突き止めるべくフェレイラの弟子であるロドリゴ神父とガルペ神父は長崎へと赴くことに。
訪れた長崎では、キリスト教迫害の現実が待ち受けていた・・・。
本作で描かれたのはキリスト教への信仰心について。
私、もちろんのごとく無宗教者で神様の存在を信じているかっつーと、本気では
信じていない訳で。
ただ、より良く生きるためにはそういう存在や何かを信じて生きるのも
ありなんじゃあないかとも思うようになったり。
そんな無宗教者の私。
やっぱり、本作で描かれたキリストへの信心、盲目的に崇めるという行為が
よく分かんなくって。
ただ、そこまでして神を信じ、疑わない行為は本当に凄いなぁと思うんです。
例えば、本作では有名な「踏み絵」のシーンが描かれます。
隠れキリシタンを暴くために、「踏み絵」をさせる。
それをしなければ殺されてしまうのに、キリシタンの人たちは踏むことをしない。
果たして、それが本当に良き事なのか。
こっちは、「死」が一番の悪いことと捉えているから、逆にその行為をしないことが
悪き事に見えちゃって。
例えば、本作のキーポイントとなるキャラクター。
キチジローという男。
彼は、「踏み絵」のシーンで恐怖に負けてマリア様を踏んでしまいます。
その後、罪を告白しまたキリシタンとして生きていきますが、次から次へと
罪を犯してしまいます。
それでも、彼はキリストを崇めることを止めず、罪を告白しては、また生き続けて生きます。
さすがに、こいつまでとは言いませんが、「生きる」ってそんなもんなんじゃあないかなぁと思ったり。
信仰心、信仰するってそのぐらいのバランスの方が良いんじゃないかなぁと思ったり。
本作のロドリゴは、キリスト教信者としての生き様と人間としての生き様、そこの選択を
迫られます。
そして、彼が出した答えこそが、人と宗教のより良い距離感なんじゃないかなぁと思いました。
だって、彼がこれ以上、頑なになっていくと周りの人たちが命を落とす事になっていたのですから。
だからロドリゴは表立っては神様を捨てたようにみせ、心の中には決して消えることのない信仰心が
残すという選択をしたんですよね。
なるほどねぇ。
素晴らしい選択なんじゃないでしょうか。
この宗教や信仰心についてのお話はもっとも〜〜〜〜っと話したいことがあるのですが、
ちょっと文字にするのは難しいのでまぁいずれ。
とにかく、本作を観てそこら辺のことを改めて深く考えさせられたと言いますか。
本当に、むむむと考えさえられましたよ。
宗教についてのお勉強を充分にさせてもらった本作。
演じている役者さんたちも素晴らしかったです。
主演のアンドリュー・ガーフィールド、ガルペ神父役のアダム・ドライバー、フェレイラ神父役の
リーアム・ニーソンのハリウッド組はもちろん素晴らしかった。
特にロドリゴ神父は迫真の演技でしたね。
そして、本作は日本人俳優さんたちもたくさん出ていました。
加瀬亮、浅野忠信、イッセー尾形等々。
プロレスラーの高山善廣やEXILE AKIRAも出ていましたね。
MVPは恐らく、みんなも彼を挙げるであろうキチジロー役を演じた窪塚洋介さん。
あの情けない感じとか、人間の弱い部分を打ち出した表情や佇まいが素晴らしくって。
僕的名シーンは、キチジローが3度目の「踏み絵」をさせられて、ふんどし姿で屋敷から
解放されるシーン。
あのなんとも情けなく逃げていく後姿がめちゃくちゃ素晴らしくってね。
本当に名演でした。
演出について。
本作の監督は先に書きました通り、マーティン・スコセッシ監督。
齢74歳のベテラン、というか重鎮監督だけに、恐ろしく落ち着いていて重厚な演出。
なんとなく、海外の監督がこういう日本を舞台に描く作品は違和感ありありな事が
多いんですが、本作はそれがなかった。
むしろ、日本人監督が撮るよりも、素晴らしかったんじゃないでしょうか。
恐れ入りました。
素晴らしい監督、俳優の元、作られた本作。
とても見応えのある良作でした。
とりあえず、小説を一度読んでみようかと思います。
そして、もう一度観直してみようかな・・・。
≪点数≫
8点
(17.10.29鑑賞)
こちら原作。
読まなければ・・・。

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