2017-01-16 Mon

2014年制作 スペイン
監督:カルロス・ベルムト
≪キャッチコピー≫
『魔法少女ユキコは悲劇のはじまり。』
≪ストーリー≫
失業中であるうえに、娘のアリシアが白血病で余命いくばくもないという過酷な状況に置かれているルイス。ある日、彼は日本製アニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンである娘が、キャラクターのコスチュームを着て踊りたいと願っているのを知る。父親としてアリシアの望みをかなえるべく、高価なコスチュームを手に入れようと奔走するルイス。しかし、そんな彼の決意と行動が、元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)と心に闇を抱えている女性バルバラを巻き込み、悲愴な事件を招くことになる。
≪感想≫
むむむ・・・なんともへんてこな作品に出会ったぞ。
本作は自体が二転三転と転がり落ちていく作品。
やはりネタバレは禁物の作品なので、まだ観ていない方は読まない方が良いですよ。
さてさて。
なにから語れば良いのか。
本作って、とにかく説明が少ない。
観ているこっちがどう受け取るか、どう読み取るかが肝となっております。
この登場人物たちの間には何があったのか。
過去には何があったのか。
そもそも、こいつらの人間性、性格ってどんな感じ??
等々。
色んな部分が端折られていて、必要最小限で物語が進んでいく。
普通なら、それが単に引っかかって不快で怒りに感じる事が多いのですが、
本作はそれが無くって、逆に物語に深みが増すと言いますか。
与えられる情報や時間軸の使い方がとても巧みなんですよね。
最後の最後まで前のめりで観る事ができましたよ。
登場人物も最小限。
余命わずかと思われる白血病の少女アリシア。
ボーイッシュで凄く愛くるしい少女。
日本アニメの「魔法少女ユキコ」のファンである彼女の夢はユキコの衣装を着て踊る事。
父であるルイスは娘の夢をかなえるために奔走する。
このルイスがちょっとどうしようもない男。
後に出会う謎の美魔女バルバラと一夜を共にしたあと、彼女に対し恐喝を行います。
動機はアリシアのためとはいえ、いくらなんでもねぇ・・・。
何となくですが、彼の悪事がさらなる悪事を生みだす事になったのではとね。
動機が動機なだけに、強く言えませんが、それでもダメなもんはダメでしょうよ。
謎の美魔女、バルバラ。
彼女はなんだか闇を抱えている様子。
彼女は彼女でかなり変なんですよね。
深くは描かれていませんが、彼女もちょっとわるそな雰囲気で、業を背負っている感じ。
後に彼女の学生時代の先生であるダミアンに対する所業もすっごい悪いんですよね。
被害者のようで加害者でもある。
まさに魔女と言った感じ。
バルバラに憑りつかれたダミアン。
ある意味彼が一番の被害者。
バルバラに人生を狂わされて最後の最後にはあの行動ですよ。
やっている事や結果はサイコな輩なんですが、彼に関してはある程度、
深めに描かれていたので、彼が変わっていく過程が今思い起こすと哀しい。
あの、バルバラのために決意し、ルイスをとっちめようと準備するシーン。
バックに流れる歌と相まってちょっとシブかったです。
キャラ立ちもしっかりしていたし、何より物語が展開してく演出が凄く良かったです。
悪い方へ悪い方へとごろごろと落ちていく感じ。
これ以上罪を重ねないでと言う気持ち。
そして、その想いには乗ってやれんと言わんばかりの負の連鎖は続いていくあの重苦しさと痛み。
クライマックスのあの所業。
少しひいちゃいました(苦笑)
先に書いた通り少ない情報量で、観る者を考えさせ圧倒する作品。
もう一度観たい気持ちもあるが、最後の展開がちょっとねぇ・・・なので止めとこっと(苦笑)
≪点数≫
7点
(16.10.29鑑賞)

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