2015-01-07 Wed

2011年制作 米
監督:リン・ラムジー
≪キャッチコピー≫
『母さん、僕が怖い?』
≪ストーリー≫
自由を重んじ、それを満喫しながら生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)は、妊娠を機にそのキャリアを投げ打たざるを得なくなる。それゆえに生まれてきた息子ケヴィン(エズラ・ミラー)との間にはどこか溝のようなものができてしまい、彼自身もエヴァに決して心を開こうとはしなかった。やがて、美少年へと成長したケヴィンだったが、不穏な言動を繰り返した果てに、エヴァの人生そのものを破壊してしまう恐ろしい事件を引き起こす。
≪感想≫
良くできた映画だなぁ・・・。
だけど後味が良くないなぁ・・・。
まず、良くできていた部分。
物語の語り口がとても上手。
冒頭、エヴァは家を出ると壁にはペンキがぶちまけられ、車も汚されている。
そこで彼女が、何らかの理由で誰かに嫌がらせを受けていることがわかる。
そこから、フラッシュバックで過去と現在の状況を映し出し、少しずつ現状が鮮明になっていく。
ここら辺がとても上手で興味の持続が上手く保てている。
ただなぁ・・・。
本作で訴えたい事、伝えたい事みたいなものがちょっともやっとしたもので・・・。
母親に対し、この世に生を受けた瞬間から憎悪、それこそ殺意を抱く息子。
その理由は何なのか??
親は子を選べないし、子は親を選べない訳で。
エヴァは子供を授かった時に、浮かない表情をしている。
恐らくエヴァは特に子供を必要としていなかったのかな。
その表情がお腹の子に伝わったかのごとく、息子のケヴィンは母に対する嫌悪感がハンパない。
赤子の頃からエヴァには懐かないし、少し大きくなってもずっと睨み顔。
母親と思っていないような態度の連続。
ただ、エヴァは徐々に子供に対する愛情が備わってくる。
どんなに虐げられても、敵視されても母親としての行動をとり続ける。
それでもケヴィンは変わらない。
何が理由なのか。
根に張る憎しみは取れず、癒されることはこんなにも難しい事なのか・・・。
ここら辺が観ていて、とても納得がいかないというか、合点がいかない。
上手く言えませんが違うような気がするんだよなぁ・・・。
ケヴィンは基本、誰にも懐いていないんです。
父親には良い顔するけど、それは愛情からくるものではなくただその方が
良いと思っているから。
新しく生まれてきた妹にも憎しみの連鎖は止まらず、いじめてばかり。
これは相当のオチがあるぞと思いきや・・・。
特にドデカいオチがある訳でなく、そのままスッと終わっていって。
・・・んんーーー、やっぱり納得いかないんだよなぁ。
これなら、ケヴィンを「悪の経典」の蓮見や「ノーカントリー」のシガーのような
サイコパス的着地にして欲しかったな。
理由なんて本当になく、絶対的な意識でその行動に出ているみたいな。
少し理由付けをしたせいで、もやもやっとね。
僕は子供がいないのでまだ理想の形みたいなものに囚われているのかもしれませんが、
基本的に、親子・兄妹って本作のような形では無いような気がするんですよね。
もちろん、もっと凄惨な事件や、信じられないような事件が世の中に蔓延っているのも
事実なのは知っています。
ただ、本作を観ているとやっぱり納得いかないんです。
もっともっと、ケヴィンの行動や動機を掘り下げてくれないと。
中途半端な描き込みはちょっとねぇと。
何はともあれ、映画的には良くできた作品。
サスペンス作品としては良くできた作品。
ただ、自分の中では納得いかない作品でした。
≪点数≫
2点
(14.11.29鑑賞)

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