2014-08-04 Mon

2011年制作 ベルギー/仏/伊
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ, リュック・ダルデンヌ
≪キャッチコピー≫
『ただ、一緒にいてくれたら、それだけでいい。』
≪ストーリー≫
児童相談所に預けられたまま12歳になろうとしていた少年シリル(トマス・ドレ)は、いつか父親を見つけて一緒に暮らしたいと願っていた。
ある日、彼は美容院を営むサマンサ(セシル・ドゥ・フランス)と出会い、ごく自然に彼女と共に週末を過ごすようになる。
二人は自転車に乗って街を走り回り、ようやくシリルの父親(ジェレミー・レニエ)を捜し出すが……。
≪感想≫
以前観た「ある子供」のダルデンヌ兄弟の作品。
第64回カンヌ国際映画祭でグランプリを取った本作。
すっごい良い作品でした。
大好きな父親と離ればなれになったシリル少年。
突然、消えてしまった父親を探し施設を飛び出すも、捕まっては施設に戻されての繰り返し。
突然、訪れる寂しさに憤りを感じる、無垢な年齢の少年はさわる者みな傷つける。
どんな優しさに対しても。
どんな厳しさに対しても。
愛情に対する受け皿が壊れてしまっていて・・・。
シリル少年を見ているととても痛々しい。
自分が置かれた環境に対する「怒り」を見ているととても痛々しい。
これが、青年、大人が置かれている環境だと、きっと観ていて少しはハラが立ったのかもしれない。
ただ、このぐらいの年齢の子供が立たされた不条理な世の中を見せつけられると、何も言えなくなっちゃう。
自分で選ぶことのできない環境。
凄くモヤモヤと、凄くイライラとしてくる。
なんだかなぁと。
そんなシリル少年にとっての一筋の光。
赤の他人である女性サマンサ。
このサマンサの無償の愛情がとても素晴らしい。
このシリルに対する愛情、慈愛の感情はどこから生まれるのだろうか。
正直、ここまでの心を持つことが自分にもできるだろうかと考えると自信が無いな。
こんな絶望と怒りの淵に立たされた子供たちを救うのはきっとこういう周りの大人なんです。
子供たちに必要なのは絶えず隣に寄り添う大人なんです。
もちろん友達も必要。
もちろん家族も必要。
ただ、このシリル少年に必要なのはこのサマンサのような本気で向き合ってくれる
「人間」が必要なんだと。
サマンサの優しさにも最初は向き合う事が出来なかったシリル少年。
相変わらず周りを傷つけ自らも傷つける。
最後の最後で自らの罪の報いを受ける事に。
そして自らの罪を受け入れその負の連鎖を断ち切ったシリル少年。
彼はサマンサの下へ走り出す。
きっと彼の将来は希望の光で満ち溢れている。
まだまだ訪れるであろう悲しみの中にも希望の光は満ち溢れている。
それを見つける眼差しをシリルはサマンサから教えてもらったんじゃないかな。
重々しい作品でしたが観終わった後はいろいろ考えて、少し心が温かくなりました。
ダルデンヌ兄弟作品。
個性的ですがおススメです!!
≪点数≫
9点
(14.06.29鑑賞)

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